タイの携帯電話キャリアには、タイ電信電話公社系のDTACのほか、タックスィン・チンナワット首相が所有しているシン・コーポレーションを中核とする財閥系のアドヴァンスド・インフォ・サービス(AIS)がある。
いま使っている携帯電話は、エーンの名義でAISと契約しており、ポストペイド方式と呼ばれる毎月の請求書払いとしているが、もし仮にエーンと別れることになったら携帯電話が止められてしまう。
そこで、マーブンクローングセンターの6階にあるAISの窓口へ行って、外国人の名義でポストペイド方式の契約できないか確認してみたところ、労働許可証の交付を受けていない外国人はポストペイド方式の契約ができないため、料金前払いのプリペイド方式のサービスを使うしかないという回答だった。
つぎに、同じアパートに住んでいる日本人留学生から、ワールドトレードセンターに併設されている伊勢丹の6階にある家電売場であれば、労働許可証がない日本人でもポストペイド方式の契約ができるという噂を聞きつけて、さっそく家電売場へ足を運んでみた。店員によると、この家電売場ではSIMカードのみの販売はおこなっていないが、2,000バーツを支払えば営業時間が終わったあとに個人的に便宜を図ってくれるという話だった。
エーンがアルバイトをしているサヤームディスカバリーセンターの6階にある酸素バーへ行って伊勢丹が閉店するまで時間をつぶし、あらためてワールドトレードセンター前の待ち合わせ場所へ行ってみたところ、家電売場の店員がマーブンクローングセンターの4階で携帯電話屋を営んでいる男といっしょに立っていた。
「就労許可証をお持ちでしょうか? この欄に許可証の番号をどうしても記載しないといけないので・・・・・・」
(それがないから、わざわざここまで来ているんじゃないか!?)
今になって思うと、伊勢丹5階の家電売場で働いている店員は、マーブンクローングセンターで携帯電話屋を営んでいる知り合いから個人的にSIMカードを仕入れ、それをバカ高い金額で転売することで小遣いを稼ごうと目論んでいたのだろう。しかし、その企ては何人もの人々を巻き込んで、けっきょくは失敗に終わった。いかにもタイらしい人騒がせな話だが、迷惑なことこの上ない。
帰宅後、エーンが「日本語を勉強して日本へ行きたい!」と言いだしたため、タイ人の女性が日本へ行けない理由を懇切丁寧に説明した。以前、タイ人と結婚するつもりはないとシェーンに話してあったから、てっきりエーンも知っているとばかり思っていたが、まったく何も聞いていなかったらしく涙ぐんでしまった。
マイッタ。これからどうなるんだろう?