午後10時、プララームガーオ通り(ラマ9世通り)にある娯楽食堂ウィンラーでフリーペーパーの編集者や翻訳家の友人たちと合流した。まるでソープランドのような店構えだが、この種の娯楽施設はどこもそんなものらしい。店内はタイ人客ばかり。ステージではお笑いが演じられていた。
大阪系のコテコテのお笑いだった。ツッコミ役の2人組がボケ役の男をいじっている。好みの芸風ではないから、ひたすらタイ語のリスニングに専念した。男性が話すタイ語はただでさえ聞き取りにくいのに、エコーまでかかっていたせいで精神的に激しく消耗した。きっと大阪風の芸風が好きな人なら言葉が分からなくても十分楽しめるだろう。
午前零時、合計5組のお笑いグループがステージを去るとドレスを着ている8人組の女性が登場した。歌っているのはせいぜいひとりかふたりで、あとは張りぼてやカカシの類。タイの田舎祭り「モーラム」を小規模にしたという印象だった。
お笑いでは、日本ではゼッタイにタブーとされている身体障害者を笑いのネタに使っているグループもあった。タイの大衆芸能は傍若無人だがそれだけに人間的だった。もしかしたら社会の根底にある価値観が違うのかもしれない。
タイの芸能については、一緒に住んでいるエーンが英語圏の芸能しか興味を持っていないためあまりよく分からない。