夜、スクンウィット39街路にあるイタリア料理店 L’opera でバンコクに滞在している高校時代の友人と夕食をとった。その後、エーンも誘ってペッブリータットマイ通りにあるホテル Amari Atrium へ飲みに出かけようと思って、一旦ペッブリー18街路にあるアパート Venezia Residence へ戻ってからタクシーに乗った。
タクシーのなかでエーンは今晩自分の身に起きた不幸な出来事について愚痴をこぼした。「ペッブリー通りにある屋台へ夕食を買いに行く途中、変な男が近づいてきて『俺と取引しようぜ。カラダ売るだけで月々20,000~30,000バーツの収入になる。いい話だろ?』と話しかけてきたのよ。あまりにも腹が立ったから、おしゃべりしながら歩いて警察署まで連れて行こうとしたんだけど、途中で逃げられちゃった。もうサイテー」
――売春婦がいるから毎年たくさんの外国人観光客がタイに遊びに来ているんだよね?売買春に関わってタイ人だってそれと同じぐらいたくさんいるはずなんだから、道端で売春婦と間違われて値段交渉を吹っ掛けられたとしてもちっとも不思議じゃないと思うけどね。
素っ気なく言葉を返したら、ただでさえ虫の居所が悪かったエーンの怒りが大爆発。タクシーの扉を開けて走り去っていった。
マズいと思って自室へと引き返したところ、エーンは数分後に帰ってきた。これまでの11ヶ月間で蓄積した僕に対する不満を論って「これじゃまるでルームメイトみたいじゃん!!」と付き合っていることの根本的な意義についてさんざん問い詰められ、最終的に別れた方が良いという結論に落ち着いた。
エーンとの口論に予想以上の時間を割かれたため友人を空港まで見送りに行けなかった。まったく申し訳ないことをした。