タイ語には日本語と同じように方言があって、バンコク標準語、東北部方言イーサーン語、北部方言、南部方言の4種類がある。生粋のバンコク人でもニュースさえ見ていればある程度の方言は理解できるようになるけれど、それでもサッパリ理解できないことがあるという。
きょうの授業「ラジオ報道の聞き取り」では、南部方言がキツい男性のインタビューが流されてクラスが騒然となった。まるで酔っ払いが話しているかのようなタイ語だった。こんなのを聞き取って設問に答えるなんてゼッタイにムリだ!
―― 先生、3人目の回答者は酔っ払いですか?それとも寝っ転がりながらインタビューに答えているんですか?
「この話し方は南部の方言なんだけど・・・・・・その特徴は今あなたが言ったように酔っぱらってるみたいなところなの。でも政府の報道官はもっと聞き取りにくいタイ語を話すわよ」と講師は姿勢を正して声を顰め、言葉を慎重に選びながら説明した。
―― 聞き取れないんじゃ、その報道官、職務を果たしているとは言えないのでは?
「わたしもときどき聞き取れないことがあって、何を言っていたのか母に聞くことがある」
帰宅後、この話をエーンにしたところ「バンコクには地方出身者をバカにするような風潮があって、とりわけ南部出身者は話し言葉がヘボいと罵られているわ」と話していた。
―― それじゃ、タイ東北部イーサーン地方の出身者は?
「南部出身者のことは東北部出身者(イーサーン人)もバカにしてる」
タイの匿名掲示板にも人を出身地で差別するような書き込みがたくさんあるという。先日、ラームカムヘーング大学情報処理センターの掲示板で差別的な書き込みに対してエーンが品位ある書き込みをするように呼びかけたところ、逆に総スカンを食らったという。
夕方、東急百貨店4階にある日本料理店「田ごと」でエーンと夕食をとっていたところ、普段は空席同然の喫煙席が日本人と売春婦のカップル集団で埋め尽くされていた。そこでは聞いているだけで疲れるような会話が展開されていた。
売春婦は日本人男性に、「いま日本語を勉強してるんだけど学費がどうしても足りないの」と言って日本語学校の料金表を見せ、「仕事柄どうしても化粧品が必要なんだけどお金がどうしても足りないの」と言ってコスメのパンフレットを見せ、「田舎に子供がいるんだけど養育費がどうしても足りないの」と言って幼い息子の写真を見せていた。金の無心のために一度に3つもの理由を挙げるとはあまりにもえげつない。
エーンは日本人男性と売春婦のカップル集団が帰ったのを確認してから、「その前に首からぶら下げている20,000バーツ(約60,000円)の携帯を売り払ったらどうかしら?」とツッコミを入れていた。