「親切」の価値観

エーンとの関係は別れる寸前まで悪化した。原因は日本とタイの「親切」に関する価値観の違い。

バンコク市内の交通渋滞は中等学校の生徒たちを父母がクルマで迎えに行く夕方にピークを迎える。朝夕の通勤ラッシュなんて、それに比べればたいしたことはない。

夜、スクンウィット12街路にあるディスコ Ministry of Sound へアメリカ人の友人や日本人の友人たちと遊びに行ってから、アメリカ人のクルマでマーブンクローングセンターへ移動してエーンと合流する予定になっていた。ところが Ministry of Sound からマーブンクローングセンターへ向かっている途中でエーンがペッブリー18街路にあるアパートまで迎えに来るよう注文を付けてきた。

ここのところエーンの子供じみたわがままが度を超しているので「なんて子供なんだ!近いんだから自分で来い!!」と罵倒したら、まったく手がつけられなくなった。マーブンクローングセンター6階にあるボーリング場前で携帯電話を怒りにまかせて床にたたきつけ、「もう我慢の限界だ」と言って立ち去ったけれどけっきょく許してしまった。

こうも「あって当然の親切」というものの価値観が違うと一緒に生活するのに苦労する。

ペッブリー18街路にあるアパートからマーブンクローングセンターまでの距離は900メートル。

タイには中年男性が健康な中等学校の生徒にバスの席を譲る文化があるという。

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バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。