ひとり暮らし初日

なんだか自由すぎるのも落ち着かない。

きょうからは、起きる時間も、部屋の電気を点ける時間も、誰と電話するのも自由。世間では自由がいかにも素晴らしいことのように言われているけれど、いざ実際にホントウの自由を手にしてみるとそれほど良いものでもないように思えてくる。

きょうから新たに加わった自由の最たるものは「一日中タイ語をひとことも話さなくて良い自由」だろう。これから自分のタイ語会話力がジワリジワリと低下していくのが容易に想像できる。

昨晩、部屋の掃除を終えてベッドに入ったのは、日が昇ってアパートの外が慌ただしくなってきてからのことだった。午後2時に目が覚めて寝起きの心地よい時間をダラダラ過ごしてから、アパートから徒歩2分のところにある美容室へ出かけた。洗髪とブローで50バーツだった。人工のさらさらヘヤーを完成させてからバイトに行った。

仕事を終えて部屋へ戻ってくると机の上にエーンの書き置きがあった。それによると、この部屋に来たらしいけど終バスがなくなる前には帰ったという。

僕はいまこの部屋に一人で住んでいる。14ヶ月間も続けてきた習慣を変えるのは容易ではない。精神的に。

ABOUTこの記事をかいた人

バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。