アメリカの町おこし (LA留学生日記より)

ショッピングモールは過疎地の経済を活性化するためにある。

けさ友人とレンタカーでラスベガスへ向かった。約360マイル(約580キロ)の長距離ドライブだった。州間高速道路インターステート15号線の沿道には赤褐色をした急傾斜の山がそびえ、周囲に電柱すらない荒野が広がっていた。

ロサンゼルスの北東約200キロのモジェイブ砂漠に忽然と巨大な集落があらわれた。

カリフォルニア州バーナーディオ郡バーストウの人口はおよそ21,000人。第二次大戦後に建設された銀の採掘拠点で貨物や旅客の輸送のために鉄道も敷設されたという。経済は商業に依存しており、ロサンゼルスからラスベガスを抜けてソルトレイクシティーへ伸びるインターステート15号線の経由地になっている。市内には BNSF Railway と Union Pacific Railroad の鉄道駅もある。

この街最大の収入源は、ブランド品を格安で販売しているバーストウ・アウトレット。

学部生だった頃に大学で「郊外型ショッピングモール経営論」のようなものを習ったことがある。それによると、後背に大きな都市がないと集客に失敗して事業が成り立たないという。しかしここは周囲100キロを荒野に囲まれた辺鄙な土地。周辺の都市はどこも200キロ以上離れている。ひとことでショッピングモールといっても日本とアメリカとではだいぶスケールが違うようだ。

アウトレットモールで洋服を大量に買い込んだ。タイで着ていた原色の服は陽気なアメリカ西海岸の雰囲気にそぐわない。そこでジーンズやバスケットシューズなどで身を固めてカジュアル系のファッションへシフトすることにした。 T シャツ6枚、ジーンズ1本、チノパン1本、バッシュ1足、カジュアルYシャツ3着で合計約250ドル。バンコクで買うより安上がりだった。

その後、州間高速道路インターステート15号線で一路ラスベガスを目指した。沿道にあるショッピングモールに数ヶ所寄ったため、日が沈む午後6時頃にカリフォルニア州とネバダ州の州境を越えて本来約4時間の道のりを12時間かけて移動した。

カジノホテル Sahara Hotel and Casino で午後10時半から午前零時までブラックジャックをプレイした。最低掛金2ドルのテーブルで一時15ドルほど勝っていたけれど最終的には8ドル負けた。

きょうはダウンタウンにあるカジノホテル Las Vegas Club Hotel and Casino に泊まった。宿泊料金は1部屋(2人)15ドル+税金。ラスベガスのカジノホテルはどこもカジノ客を呼ぶために宿泊料金を安く抑えている。

いまでは世界中で有名なラスベガスも元をたどればバーストウのアウトレットモールと同じ過疎地の町おこし政策の一環だったという。

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バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。