外国人による不法就労については、どの国も手を焼いているようだ。特に最貧国のラオス、カンボジア、ミャンマーの3国と陸続きで隣接しているタイでは日本より深刻な問題として受け止められている。不法労働者は、都市部では経済的に恵まれている市民の邸宅で使用人として働くか性風俗産業に従事し、地方では小作農として働いているケースが多い。
不法労働者の存在は、労働者コストの抑制することで国家の産業競争力を押し上げる効果がある反面、国内の非熟練労働者(単純労働者)の失業を招いて犯罪件数が増えるという副作用がある。そのような理由から、タイ政府は国境地帯に数多くの検問して、陸路からの外国人の流入を食い止めようとしており、検問では国民IDカードやパスポートなどの身分証の提示が求められる。
「実は・・・・・・パスポート持ってきてないんだ。でも、大丈夫。俺には天下のヂュラーロンゴーン大学の学生証があるから、タイ国内での俺の立場は安泰だ。コイツには魔法の力があるんだから」
カンボジア人の学生が財布から学生証を取り出して、そう話していた。しかし、この学生のタイ語力ではタイの警察当局が不法滞在者を確認するときに使う「タイ国歌斉唱」には到底耐えられないだろうし、パスポートがなければ「不法入国したミャンマー人」としてミャンマーの当局に引き渡されかねない。
・・・・・・というのは、タイ語が使える学生たちの冗談話。実際には、タイ内務省が発行した「調査目的の難民臨時居住区進入許可証」を見せるだけで無事通過できた。
鳥インフルエンザによる鶏肉の販売不振はタイ全国に広がっている。途中で経由したナコーンサワン県内のサービスエリアには鶏料理が一つもなかった。報道によると、政府は鶏料理を無料で振舞うキャンペーンが催したり、徴収兵たちの食事に鶏をふんだんに使ったりして国内の鶏の消費量を維持しようと躍起になっているという。