きょうは朝からシアムリアップ市内にある小学校の敷地内に設けられた「アンコール研究所」に籠もって、終日カンボジア考古学の講義を受けていた。休み時間に講義の内容がよく分からず消化不良のまま屋外に出ると、ベトナム人クラスメイトが近づいてきてポツリと呟いた。
「さっきのレクチャー、理解できた?」
英語が堪能で、アメリカのロックフェラー財団から返済不要の奨学金をもらっているエリート奨学生たちに分からないものが、僕なんかに到底理解できるはずがない。そもそもフランス人の英語はあまりにもクセが強すぎる。
東南アジア研究科の一行は、シアムリアップ市内から約4km離れている市内最大級の高級ホテル「シティー・アンコール」に宿泊している。カンボジア人ガイドによると、1泊(1部屋)120-135ドル。シアムリアップ県選出の有力国会議員が経営しているホテルで、この議員は遺跡へ通じるルートに私道を敷設してそこからも通行料を得ているという。海外からの援助金は、このような私的な事業にふんだんに使われている。
ヂュラーロンゴーン大学は「お堅い」ことで有名だが、そのなかでも東南アジア研究科は特にハイソなタイ人学生の集まりのせいか、時に粋な計らいをしてくれる。午後5時から7時までの2時間、お洒落なバーFCCでのカクテルタイムが設けられた。久々に飲むマルガリータは、まさに砂漠の中のオアシスだった。