バンコクでの生活もかれこれ2年半になり、すっかり日常の光景となってしまったが、それでも観光客の視点で改めて観察してみると思わぬ発見に出くわす。ところが、その大半は日頃の経験から本能的に避けているような面倒なことがほとんどで、決してウレシイものばかりではない。
昼前、ホテルThe Orientalへ両親を迎えに行き、バンコクの観光名所「ワットプラゲーオ」(エメラルド寺院)へ向かった。しかし、その周辺には駐車場がないためホテルにクルマを駐めて、ヂャーオプラヤー川を船着場「オリエンタル」から水上バス(10バーツ)で北上。約15分後に船着場「ターチャーング」で下船した。
「エメラルド寺院なら今日は閉館日だよ。ほかにもっと良いところがあるから案内してあげよう」
観光ガイドブック「地球の歩き方」を読みながらターチャーング船着場の前を両親と歩いていると、トゥクトゥクの運転手が話しかけてきた。ガイドブックには、トゥクトゥク運転手が話しかけてきて「今日○○は休み」という嘘をつき、②観光客を騙して宝石屋に連れて行こうとするケースが詐欺の典型例として紹介されている。これまで他人事としてまったく真に受けていなかったが、まさかこんなことが本当にあろうとは。
タイ語で「そんなことあるわけないじゃん」と言って足早に立ち去り、何事もなく両親とワットプラゲーオを拝観した。そして、ふたたび観光ガイドブックを読みながら船着場前に戻ってくると、複数の男女に「この船着き場前は一方通行です。こちらへどうぞ」と指示され、誘導されるままに歩いていくと民間ツアー会社の受付窓口に案内された。僕は「ワットポーへ行くために水上バスでラーチニー船着場まで行きたい」と言ったが、窓口の職員は彼らが主催するツアーに申し込ませるために、さらなる嘘を繰り出してきた。
「この時間、ワットポーは昼休み中なので、川向かいのワットアルンに行くといいでしょう。船賃はひとり200バーツです」
仏教寺院に昼休みなどあるもんか! とうとう頭に来て彼らを罵倒してしまった。
「なぁにが、『ワットポーが昼休み』だ! ふざけんな!! 坊主が昼飯なんか食うもんか!! それに2バーツで済むものになんで200バーツも払わなきゃいけないんだ? バッカじゃねーの!」
僕があまりにも口汚く罵ったため、それなりに手ひどい罵倒を浴びることになった。まったく納得がいかない。結局、ワットポーへ行くのも面倒になり、僕たちは彼らの罵声を背に受けながら、すぐ隣にある公営水上バス船乗り場「ターチャーング」から次の目的地である船着場「サパーンタークスィン」へ向かった(8バーツ)。
あんな輩がいるから、外国人がタイ人を「金の亡者だ。奴等は金のためならなんでもする」と誤解してしまうんだ。もしタイ人が本当に自らの国に誇りを持ち、その評判を守りたいと考えているのなら、国辱級の奴等を真っ先に排除すべきだ。バカの一つ覚えのように、「タイ人は歴史上一度たりとも外国の植民地に成り下がったことのない誇り高い民族」と唱え続けたところで、実態がこんなんでは絶対に認められない。
なにはともあれ、バンコクで不快な事件に遭遇したくなければ、観光客を相手に商売しているような人とは関わらないほうが良い。
サパーンタークスィン船着場から高架電車でスラウォング通りにあるタイシルク専門店Jim Thompsonへ行って、両親の土産物を購入した。その後、ホテルRoyal Orchid Sheratonでタイマッサージ(3人で合計7,500バーツ)を受け、ホテルThe Orientalのタイ料理レストラン「サーラーリムナーム」でタイ舞踊を鑑賞しながら夕食をとった。
タイの古典舞踊ラーマギアンは、カンボジア古典舞踊「アプサラ」に似ている。タイの王党派歴史学者たちは否定しているが、どうやらタイがカンボジアの西部を征服したアユッタヤー朝時代に、カンボジアの舞踊家たちを連れ去ってきたことで、タイにこの踊りが伝来したようだ。仮にそうでなかったとしても、どちらも同じインドの叙事詩「ラーマヤナ」をモデルとしてるため、別に似ていても不思議じゃない。
3SET DINNER@1444.36 4333.08 / 1OPEN BEVER. 260 / 1 TAITTINGER HALF 3,900 / HALBORO LOGHT 74.77 / SUBTOTAL 8567.85 / !SERVICE 10% 849.31 / VAT 7% 659.20 / TOTAL DUE 10076.36
これまで僕が行ったスパの数などたかが知れているが、スパThe Royal Orchid Mandara Spaの完成度の高さには感心した。マッサージ師の腕も、市中の他店とは比較にならないほど良い。ただ、値段も比較にならないほど高かった。