音楽のある上質な暮らしを

タイに長いこと住んでいるとคุณภาพชีวิต(クンナパープチーウィット, 生活の質)といった概念に無頓着になる。というのも、極端な階級社会(タイを語るときにこれを外しては考えられない)であるタイには「標準」という概念が存在せず、どの程度の生活を維持していれば「標準以上」を主張できるのか、今ひとつハッキリしないからだ。

僕は会社を辞めるまでの22年間を日本で過ごしてきたせいか、ほかの日本人同様に「標準」というものがどうしても気になる。そこで、最近は便宜上「日本で暮らしていた頃の水準」を標準としているが、そう考えると寝室にミニコンポがないのはどうしてもオカシイということになる。

昼過ぎ、ブワと一緒にミニコンポを買いに出かけた。どうせ大衆向けの大型スーパーにはまともなミニコンポなどないだろうから、最初から高架電車プローンポング駅前の高級百貨店「エンポリアム」へ向かった。この店は、他店にはないような高級品がほしいときにとても重宝する(逆にどこの店にもありそうな例えば携帯電話などをここで買うのは愚の骨頂だ)。

ところが、この店にも25,000バーツ以上のコンポはなかった。おそらくタイに流通している家電のほとんどが発展途上国仕様の廉価版で、端からまともなミニコンポなどないのだろう。仕方なく、その中から寝室のデザインに会いそうなものを選んで持ち帰った。

バンコクには、音楽を垂れ流しているだけのラジオ局がいくつもある。今日からはそれらを思い存分堪能することができる。

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バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。