昼すぎ、Siam Discovery Center4階にあるStarbucks Coffeeで今学期の履修科目についてクラスメイトと話し合っていたところ、友人の日本人女性から電話があって大手旅行代理店HISの現地法人から内定をもらったという知らせを受けた。月給は21,000バーツで、来月から高架電車アソーク駅のちかくにあるオフィスビルで働くという。
タイの日本人社会において、タイ国内にある日系企業の現地法人から直接雇用されている日本人は「現地採用」と呼ばれており、日本の親会社から出向というカタチで赴任してきている「駐在員」とは区別されている。現地採用者は親会社の人事とは一切関わりがなく、タイ人と同じように、あくまでもタイの現地法人の従業員としてタイの労働法もとで就業することになる。
タイで発行されている日本人向けの女性月刊誌、ポメロが2004年4月号で行った日本人現地採用者の待遇に関する実態調査によると、現地採用者の月収は、回答者たちが理想としている平均の62,000バーツに対して、実際には30,000バーツ以上35,000バーツ以下(32%)が最も多く、続いて45,001バーツ以上50,000バーツ以下(26%)、35,001バーツ以上40,000バーツ以下(21%)、40,001バーツ以上45,000バーツ以下(13%)、30,000バーツ以下(8%)の順となっており、理想と現実の乖離が目立つ。
タイ国内で働いている外国人には外国人職業規制法によって労働許可証(ワーキングパーミット)の取得が義務づけられているが、その発給要件を満たしていた回答者はなんと皆無で、およそ4割が労働許可証なしで働く不法就労を強いられており、のこりの6割も給与を偽装して労働許可証を受給している状況にある。賞与についても、ゼロ(66%)、年1ヶ月(14%)、年2ヶ月(30%)の順で、年収の大半を月々の給与に依存していることが分かった。現地法人内定の決め手になったのは、タイ語力(87%, 複数回答)、英語力(79%)、職務経歴(53%)の順で、現地採用者の33%がバンコクでのキャリアは日本帰国後の再就職に役に立たないと回答している。
月給60,000バーツ以上。2006年からは月給50,000バーツ以上に緩和されている。
人材紹介会社の JAC Japan が発行している小冊子「東南アジア・中国、転職・就職情報」によると、タイにおける現地採用の求人は、製造業関係(メーカー、販売会社、機械・素材商社)とサービス業(物流、 IT、旅行会社など)がほとんどで、都市部では営業職やカスタマーサービス職、地方ではエンジニア職や工場管理マネージャー職の求人が多い。現地採用者には日本人駐在員とタイ人スタッフのあいだの橋渡し役が求められており、多転職者は書類審査の段階で落とされる傾向がある。月給は、製造業の営業職で40,000バーツから、旅行・出版業のサービス職で30,000~80,000バーツ、事務や秘書などのサポート職で40,000~60,000バーツ、工場勤務で40,000~60,000バーツ(ただし部長級なら60,000~150,000バーツ)が相場で、それぞれボーナスは0~2ヶ月となっている。住宅手当や交通費は支給されず(ただし給与に含まれていたり送迎バスが用意されていたりする)、日本の公的福祉(社会保険や厚生年金など生涯年収の4,000万円程度に相当)の恩恵を受けることはできない。
タイで現地採用として働いているのは、あくまでも個人の自由であり、誰かに強制されたわけではない。あくまでも自らの意思でタイへ渡航し、自らの意思で日本のフリーターと同じような待遇で働くことを選ぶことで、タイで生活するという希望が叶えられているんだから、それはそれで素晴らしいことだと思う。ところが、このポメロの記事には、現地採用者たちの不平不満の数々が並んでおり、さらにそれを屁理屈で正当化しようとしている記述が随所に見られた。まるで編集者や回答者たちの屈折した根性を垣間見ているかのようで、読み進めていくうちに次第に気分が悪くなった。
現地採用者たちがおかれている厳しい現実を屁理屈で正当化しようという論調は、なにも雑誌やフリーペーパーに限らず、タイ関係のウェブサイトでも大腕を振ってまかり通っている。特に、バンコクには性風俗へ通うことだけのために現地採用者として働いている奇特な日本人も少なくない。しかし、現地採用者のたかだか40,000バーツ程度の月収では、ソープランド通い(2時間1,800バーツ程度)すら満足にできず、本末転倒で非常に不本意な末路をたどるのは端から目に見えているというのに、それを謎の思考プロセスを経て正当化できてしまうのだから不思議で仕方がない。個人的には、屁理屈を捏ねるだけで苦境から立ち直れるとは到底考えられないし、そもそも100,000円程度の月給でしかもボーナスもほとんどなかったら、今回の留学資金を回収することすらできないので、タイで現地採用として働くつもりはない。
いずれにせよ、今回の内定は、友人にとってはウレシイ知らせだ! 大好きなタイで暮らしたいという姿勢で働くのなら積極的に応援したい。
あさ、タイ研究科の講座「タイ舞台演劇論」に出席してから、高架電車サヤーム駅前にある Siam Discovery Center 4階の Starbuck Coffee へ行ってクラスメイトと今学期の履修科目について話し合った。夜、足つぼマッサージ屋の Mr. Foot へ友人と出かけて、台湾式の足ツボマッサージ(1時間350バーツ)を受けながら、タイで発行されている日本人女性向けの週刊誌ポメロを読んだ。その後、フワイクワーング交差点付近にある日本風料理屋でラーメンともグワイッティアオとも言い難い謎の劇マズラーメン(35バーツ)を食べ、喫茶店に移動して午前零時までフラペチーノと水だけで居座り続けた。