大学院生としての一日

朝、授業開始時刻20分前に起床した。普段ならクルマを運転して大学へ行くところだが、駐車スペースを探すのに費やす時間的なロスを省くために、大急ぎで身支度を調えてスクンウィット13街路にあるコンドミニアム Sukhumvit Suite 前からタクシーに乗った。

午前中の講座「ASEANにおける地域的世界的背景論」に出席した。戦後の東南アジアで生まれては消えていった20もの国家連合の英文名称のせいで授業開始早々に付いていけなくなった。講義は午前9時から正午までの3時間(半期で3単位取得できる)。開始70分後に設けられた10分間の休憩では、タバコを吸いがてら文学部前にあるミニマートへ眠気覚ましのコーヒーを買いに行った。講義終了時までに書き取ったノートは8ページを越え、最後のページには眠気覚ましに食べていた粒状ミント菓子の成分がタイ語で書き殴られている。

講義は予定より20分早い午前11時40分に終了し、クラスメイトたちと文学部の学生食堂で昼食をとった。僕が食べたのは、カーオソーイチアングマイ(激辛チアングマイ風ラーメン)の大盛り(25バーツ)とタピオカ入りのアイスコーヒー(17バーツ)。食後、タイ・東南アジア研究室へ行って、カンタン単位がもらえそうな講座について情報を収集した。

午後の講座「東南アジア文明論」は、午後1時から午後4時までの3時間(半期で3単位取得できる)。きょうは民俗学が専門の著名な西洋人講師を招いて、メコン川流域の旅行体験談を聞いた。暗い教室の中でつまらないスライドばかり見せられたせいで、とうとう睡魔に負けてしまった。

“ไม่เห็นเคอิชิให้เกียรติ์อาจารย์เลย”
「ケイイチに講師に対する敬意はないの?」

休み時間になって先輩がそう話しかけてきたので、学生を寝かさないような講義をするのが講師の責任であり義務だと言って応じた。タイ人は年長者に対して無条件の敬意を払っている。学歴や職位、所得などの客観的な指標で判断できる権威についても同様だ。

その後、Siam Center にある中産階級向けの日系焼肉屋「大同門」へ行って、日本から出発してスリランカへ行く便に乗り換えのためバンコクに立ち寄っている高校時代の友人と夕食をとった。

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バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。