バンコクにおける商業金融の中心地、スィーロム通りにあるオフィスビル C. P. Tower に入っている大手通信会社 True Corp. のカスタマーサービスでの出来事。
「あそこに座ってるコがあなたに興味があるって言ってるんだけど、彼女とかもういちゃってたりする?」
窓口係が発した手続きとは全く無関係な質問に、僕は仰天して友人と目を合わせた。そのせいで悪ノリしてしまい、手渡された申込用紙にあるユーザー ID 欄に、危うく CHAMBERS と書き込んでしまうところだった。 CHAMBERS とは、ホーガーンカータイ大学(The University of The Thai Chamber of Commerce)の前にあるパブ街へ通い詰めている僕たちが勝手に自称しているチーム名だ。もっとも、激しく悪ノリしている友人が実際にこの ID を書いて申し込んだが、すでにほかのユーザーに使われていることが分かってやむなく断念していた。窓口の女性職員が、偶然にもホーガーンカータイ大の OG たちだったことも、僕たちの悪ノリに拍車をかけた。
真っ昼間のオフィス街で窓口の女性職員5人を巻き込んでのトタバタ劇の末、ようやく肝心のブロードバンド・インターネットに関するサービスの詳しい内容を知ることができた。
サービス名 | 下り / 上り 通信速度 | 月間使用料 |
5倍 10倍 20倍 40倍 50倍 70倍 |
256/128 Kbps. 512/256 Kbps. 1 Mbps. / 512 Mbps. 2.5 Mbps. / 512 Mbps. 3 Mbps. / 512 Kbps. 4 Mbps. / 512 Kbps. |
590 750 890 1,150 1,850 2,200 |
この価格表は今年6月22日に改訂されたもので、それまでのハイエンドは下り1024Kbpsで、料金は40時間までが1,850バーツ、以降1時間ごとに45バーツもかかっていたという。
ブロードバンドインターネットの申し込みには、国民 ID カードまたはパスポート、住所や電話番号を控えたメモ書きのほか、 USB ブロードバンドモデムの買い取り費用として1,800バーツが必要となる。
その後、ヂュラーロンゴーン大学工学部の修士課程に在籍しているタイ人の友人に呼び出されて、友人たちとトーングロー通りにある複合施設 Liberty Plaza へ繰り出した。ここは、いまタイの都心部で最も流行っているパブ街のひとつで、特に今晩はヂュラーロンゴーン大学の学位授与式の予行練習が催されたこともあって、日本の通勤電車のように混み合っていた。パブ「ボンベイバー」でグルングテープ大学の学生たちと合流し、さらにスーパーハイソな学生が住んでいるコンドミニアムの一室へ移動して午前5時まで飲み続けた。
「この部屋さえあれば、わざわざクラブなんかに行く必要はない。友達を何人か連れてきてくれれば、来週にでもみんなで楽しく盛り上がれるよ」
この部屋を改めて見渡してみると、最初からナイトクラブとしても使えるように設計されていることが分かる。上品に配置されたブラックライトに、広大なリビングルーム、全てが慎重に厳選された家具、豊富な寝室、充実した最新の音響機器。こんなにすごい部屋を、僕はこれまで見たことがない。
「こんなのは全然普通。友人達はもっとハイソな部屋に住んでるよ」
世の中には下には下がいるように、上にも上がいると改めて実感した。