バンコク郊外の治安

バンコクに住み始めてからそろそろ2年になるが、いまだ詐欺や窃盗の被害に遭ったことは一度もない。日頃から麻薬や貧困の温床となっている娼婦との関わりを極力避けて、不審な人物が少ない集合住宅を選んで生活していれば、このような被害に遭うことは普通では考えられない。

しかし、バンコクの郊外にある安アパートとなると、どうも事情が異なるようだ。

夜、ノンタブリー県第3農民市場公団のちかくにあるコンドミニアム(家賃2,500バーツ, 冷房なし)に住んでいる友人から「金目のものを根こそぎ盗まれた」という電話があった。被害にあったのは、テレビ、ミニコンポ、レポートの作成に欠かせないパソコンなどだ。このコンドミニアムには、学生のほかにも単純労働者や娼婦などが多数住んでいるため、麻薬の購入資金に困った住人による窃盗事件が頻発しているという。

被害の状況をひととおり聞いてから、今後の生活費について話していたところ、ふと自分の家計の状態が気になって財布のなかから ATM の利用明細書を取り出してみた。そこで、このままでは来月の家賃すら払えないような事態に陥っていることに初めて気づいた。先月末に最新型の携帯電話を衝動買いしてしまったせいだ。その携帯電話で話を続けながら、寝室と居間のあいだを行ったり来たりしていたところ、勉強机の中から大量の1万円札が発掘され、盗難にあったばかりの友人を前にして無邪気に大喜びしてしまった。

あす、教授にプレゼンテーションしなければならないペーパーの作成に一日を費やした。

ABOUTこの記事をかいた人

バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。