ドーンムアング空港の税関を突破

バンコク・ドーンムアング国際空港の税関検査が簡素化された。これまでは機内で配布される税関申告書類に必要事項を記入して空港の税関に提出するという手順だったが、今後は申告すべき課税対象品がない場合には提出が免除され、パスポートを提示する必要もなくなった。

ところが、今回の荷物は大量にあった。どこの誰が見ても大量の課税対象品が入っていると一目で分かるような物々しさがあった。機内に預けていた中型のスーツケース2個のほかに、カップラーメンがそれぞれ12個ずつ入っている段ボール箱4つを受取回転台から台車に載せ替えて、そのまま税関審査場へアプローチした。

「内容物を検査しますので、荷物をこちらの検査機に通してください」

案の定、税関の職員に呼び止められた。しかし、職員はタイ語で話しかけてきている。バンコク・ドーンムアング国際空港の税関は、タイ人に対してはかなり甘いから、このまま外国人であることがバレなければ大目に見てもらえるかもしれない。ここはタイ人であるかのように振る舞って、何が何でも税関職員の目を欺いて、何事もなかったかのようにやり過ごしたい。そう思って、荷物を次から次へと検査機に投入していった。

今回、僕が日本から持ってきた物品のうち、課税対象となるのはぜんぶで5点、精密機械約45万円分にのぼる。輸入関税率は30%ぐらいだろうから、モロに課税されるとタイ商業銀行にある僕の預金口座から10万円強が吹っ飛ぶ計算になる。

検査機から出てきた荷物をすぐに台車に載せ替えて出口へ向かった。検査場の方から、なにやら大きな声が聞こえたような気もするが、もし何か問題があるようなら追いかけてくるだろう。

今回から税関検査が簡素化されて、パスポートの提示が義務づけられなくなったおかげで、約10万円の関税を払わずに済んだ。

ABOUTこの記事をかいた人

バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。