「教養のない娼婦が論外(留学生日記2004年10月6日参照)というのなら、現役大学生の娼婦はどうなんだ?」
まともなタイ人であれば絶対に相手にしない娼婦のなかでも特にレベルの低い娼婦と結婚してしまう日本人男性が後を絶たないなか、この命題は実に興味深い。
夜、日本人の友人の紹介で、トーングロー通りにある日本人向けのカラオケスナック「鳳凰」へ出かけた。タニヤ通りにある日本人向けのカラオケスナックのほとんどが教養のない娼婦を武器に低価格戦略をとっているなか、この店は現役の大学生や OL などを集めることで差別化を図っている。
こうして、さまざまな社会的要素が複雑に絡み合っている、きわめて難解な命題に直面することになった。
1990年以降、バンコクにおける日本人向けのカラオケスナックは、社会的な要請に応じて絶えずその形態を変えてきた。最初に流行したのは高級戦略で、酒を飲みながら意気投合したホステスと電話番号を交換し、帰宅後にホステスが電話をかけてきて部屋までやってくるという流れだった。ところが1990年代の中頃になると簡素化が図られ、店に追加料金を支払うことで気に入ったホステスを時間制限付で連れて帰るというスタイルが大ブレイクした。現在でもこのスタイルが主流だが、2000年代に入ると、結婚相手をゲットするために形式上連れて帰れないとされているホステスをハントしに来る日本人の独身者向けに新しいサービスも始まった(しかし、ホステスにいろいろ探りを入れてみると「すでに彼氏がいる」という回答が大半を占めている)。
本来、冒頭にある命題に決着をつけるためには、まっさきにホステスが大学に在学していることの真偽について裏を取るべきだった。大学の食堂や周囲にある学生街の様子などを尋ねてみれば、ウソを見抜くことはそれほど難しくない。ところが、この店に来る前に日本料理店「まる」で大量のウイスキーを飲んでしまっていたせいで、正常な判断能力がまったく働いていなかった。これではもうどうしようもない。
いずれにしても、もし娼婦と結婚してしまったら、「昔、お父さんはお母さんのお客さんだったんだよ。お金を払ってセックスしてもらってたんだ」と自分の子供に説明しなければならない(それだけは絶対にイヤだ)。
夜の女性と結婚することの是非。それは個人の「将来生まれるであろう子供に対する責任感」次第かもしれない。
この件については継続調査として、結論を先送りしておきたい。まずはホステス在学の真偽を確認し、学内にどのような友達がいて、どのような家庭で育てられ、どうしてこの仕事を始めようと思ったのか尋ねることから調べたい。
きょうは午後の東南アジア労働論が休講になったため、夕方までスィーロム通りにある珈琲屋で時間をつぶしてから、トーングロー通りにある日本料理屋「まる」で日本人の会社社長と夕食をとり、現役学生が多数在籍していると噂されている日本人向けのカラオケスナック「鳳凰」へ行った。