夜、先日の命題(11月16日付参照)を解き明かすために、日本人の会社社長に依頼して、現役の大学生や OL が多数在籍しているという噂の、トーングロー15街路にある日本人向けのカラオケスナック「鳳凰」へ連れて行ってもらった。
雑居ビル The Duchness Plaza の6階でエレベーターから降りると、フロアの入口付近の照明が明るくなって、そこにホステスたちが整列した。お店に別料金を払えば、彼女たちを自室に連れ帰ってセックスすることもできる(個人的に気に入られたら仕事が終わったあとに勝手に部屋まで付いてきてしまうこともある)。さっそく、おととい「ラオス語しゃべれる人ぉ~~」と声をかけたときに手を上げたのと同じホステスを指名して、酒がまわる前に例の件の追求に取りかかった。
このホステスはタイの深南部、ナラーティワート県出身の23歳だった。高等専門学校のノンタブリー工業学校とドゥスィット商業学校ノンタブリー校が合併して2003年に昇格したばかりの新設大学、ラッタナバンディット理科技術大学の4年生で、国民 ID カード、学生証、通勤時に着てきた学生服、落書きだらけのノート、配布プリント、教授のプロフィールや校風などから、その事実を確認した。日本料理店でウエイトレスのアルバイトをしていたときに友人から勧めらたのがきっかけで、先月からこの店で働いているという。
「麻薬撲滅戦争? あんまり意味がなかったみたいね。いまでもみんなフツウに使っているし、仕事中に単語を聞くのも日常茶飯事よ。でも、みんな隠語を使って呼び合っているから、麻薬に詳しくない人は聞いても分からないかもしれない。わたしだって、麻薬の話をしていることぐらいは分かるけど、何の麻薬かまでは分からないわ。でも、きっとあの隠語はヘロインのことね」
帰宅後、このホステスと同じぐらいマイナーな私立大学、マハーナコーン工科大学を卒業したばかりの友人にこの話をしたところ、ホステスに関する自らの体験談を聞かせてくれた。
「わたしには理解できない。せっかく大学生とか大学卒とかの社会的地位を築いたのに、どうして社会の底辺がするようなホステスなんかしているのかしら。大学時代にもそういったクラスメイトはいたけれど、そのときも本当に理解に苦しんだもの。『金持ちの子弟が通う私立大学の学生がホステスなんかするはずがない』なんて、わたしに言わせればそんなの単なる思い込みね。ある日、ホステスのアルバイトをしているクラスメイトたちに誘われてパブへ遊びに行ったら、ちょうど特別なパーティーの日だったみたいで、トイレに入ったらみんなでヘロインを打っていた。わたしは『今回は気分が乗らないからまたね』と言ってダッシュで逃げ出してきたけれど、いまでも思い出すたびに寒気がするわ」
今回のサンプルになってくれたホステスは、授業中に書いた「恋愛の詩」や「失恋の詩」などを読み聞かせてくれた。容姿だけではなく性格で自分を判断してもらいたいという意気込みには感心したが、それでもさすがに「僕の彼女はタイ人が社会の底辺とみなしている娼婦です」というのではあまりにも格好が悪すぎる。
今日はサーラーデーング通りにある BNH 病院向かいのイタリア料理店6°(シックスディグリー)で夕食をとってから、日本人の会社社長のおごりでタニヤ通りにあるカラオケスナック「Noa」とトーングロー通りにあるスナックラウンジ「鳳凰」をハシゴした。