ホテルの備品補償問題

「ホテルは水道技師の出張修理や部品交換の費用として45ドルを請求してきたわ。いまホテルの支配人と金額について話し合っているところなんだけど、あなたの考えはどう?」

ユザナホテルの2階にある食堂で不味いアメリカンブレックファストをとっていたところ、ミャンマー人のガイドがタイ語で話しかけてきた。

昨晩、クラブ「パイオニア」へ行ってミャンマービールの中ジョッキを少なくとも10杯は飲んだ。当然それなりに酔っぱらってはいたが、泥酔というほどではなかった。ホテルに戻ってからシャワーを浴びていたところ水道の蛇口が閉まらなかったため、少し体重をかけたら蛇口から変な音がして水が止まらなくなってしまった。すぐにハウスキーピングに連絡を入れて、指示されたとおりに水道の水を出したまま修理工が来る翌朝まで放っておいた。

ホテルの支配人と協議した結果、「劣化していた備品の交換費用についてはホテル側が負担すべき」という大学側の主張が通り、ユザナホテルが費用の全額を持つことになった。一方で、「設備の老朽化が原因で朝まで騒音に悩まされたのだから、宿泊費用は全額返還されるべき」という僕の主張は退けられた。

きょうは、ヤンゴン中心部にあるユザナホテルに現地のテレビドラマの監督を招いて終日行われたミャンマー映画演劇論の講義に出席した。壊れた水道の蛇口に関する賠償交渉も丸一日かかった。つい最近まで鎖国状態にあったミャンマーで、グローバルなスタンダードを押し通すのは難しいようだ。

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バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。