“ไปเที่ยวกันมั้ย พี่”
「お兄さん、一緒にお出かけしない?」
深夜、ヂャーオプラヤー川の東岸と西岸を結ぶバンコクにおける陸上交通の要衝、サナームルワング(王宮前広場)を日本人の友人と散策していたところ、突然、白地に桃色の模様がプリントされているパジャマを着ている色白で小柄な女の子の2人組が声をかけてきた。日本人的な感覚からすると中学生のようにも見えるが、髪型から高校生であることはすぐにわかった。
タイにはありとあらゆる性風俗が蔓延っている。タイでは都市部と農村部のあいだにある経済的な格差が著しいため、特に都市部のタイ人にとって性風俗は非常に廉価で身近な存在となっている。タイにおける性風俗は多種多様で、①ソープランド(マッサージパーラー)、②カラオケスナック、③Go Go Bar、④バービアなどの管理型の性風俗もあれば、⑤コーヒーショップのような非管理型の性風俗もある。
特定の職業でメシを食っている人のことを、日本語では「プロ」という。一部の日本人男性は、非管理型の性風俗で働いているタイ人の娼婦を「素人」や「半素人」と呼んで、一般のタイ人女性のように扱うことによって、あたかも自分がフツウの恋愛をしているかのような虚構を楽しんでいるようだが、性行為の代償としてカネを渡している時点ですでに「売買春」は成立している。売春でメシを食っている女性は、シロウトではなく、プロの娼婦だ。
僕や僕の友人たちは、幸いにも、カネを払わなくても常識的な恋愛や性的な快楽を享受できる環境に身を置いている。それだけに、買春を恋愛と勘違いして悦に入ってる愚鈍な一部の日本人男性たちの醜態を、これまでは対岸の火事のように眺めてきたが、このあたりのことを根本的に誤解している日本人男性が思いのほかたくさんいるようなので、この機会に「タイで日本感覚の援助交際を実践する方法」について考えてみたい。
サナームルワングは、安宿街として知られているカーオサーン通りの南西約400メートルのところに位置している公園で、およそ1.5kmあるその外周には、王宮、最高裁判所、軍務省庁舎、ラッタナゴースィンホテル、国立博物館などがある。タイ人のあいだでは援助交際がもっとも盛んなスポットとして知られており、クルマに乗ったまま品定めをする男性客の目に留まろうと、援助交際を希望している少女たちが沿道ギリギリのところに立っている。その大半は、ヂャーオプラヤー川の西岸にある住宅街に住んでいる16歳~20歳までの未成年者たちで、外国人を相手に商売をしている娼婦に比べるとメチャメチャ健康的で可愛らしい(なにより若い!!)。クラブ行きの露出度が高い服を着ている少女もいれば、パジャマ姿や丈の長いトランクス姿のまま小遣いを稼ぎに来ている少女もいて、一度でもこの光景を見てしまったら、もう外国人向けの性風俗へ行ったところでただシラケるばかりになるだろう。
そのまま薄暗い公園の外周を歩いていると、「警察が来たぞ!」という声が聞こえ、道路脇にいた少女たちが一斉に散開していった。ところが、さっき声をかけてきた2人組の少女が近くの茂みに隠れているのを見つけたので歩み寄ってみた。
少女たち(たぶん16歳ぐらい)は、あらためて「お出かけしませんか」と声をかけてきた。間髪入れずに値段を聞いてみたところ、800バーツという答えが返ってきた。粘り強く交渉を続けていけば、きっと500バーツにも300バーツにもなるんだろうが、もとより買春するつもりはなかったから、500バーツまで負けさせたところで交渉を決裂させてウォーキングを再開させた。
ベンチで休息をとりながら様子を観察していると、街娼たちはオトコが運転しているバイクの後ろにまたがって次から次へと公園の周囲に到着していた。気の毒な話だが、彼女たちは身体を売ることで、彼氏と同棲するための費用のほか、彼氏が常用している麻薬を購入するための費用(ヤーバーなら1錠100~200バーツ)を用立てている。かなり歪んではいるが、当人たちのあいだでは、これもれっきとした「身も心も捧げる愛」のカタチのひとつとして考えられているのかもしれない。
日本でいうところの援助交際とは、このような売買春行為のことを指すのではないだろうか? バンコクには「素人との援助交際」だけをアイデンティティーとして生きている本当にドウシヨウモナイ日本人男性がそれこそ掃いて捨てるほどいるが、それならせめてこの程度のことはこなしてもらいたい。風俗店の斡旋をうけて単純買春を繰り返しているにすぎないような人たちが、あたかも「夜の街の専門家」になったかのように勘違いをして「オンナが云々」と偉そうに語るのは、ちょっとオカシイんじゃないだろうか? (人によっては、空想の産物を知り尽くすことでタイの専門家になったと錯覚し、風俗店の斡旋をうけることを「ナンパ」と表現し、しかも「オンナ」のすべてが娼婦だったりする)。
この記事を読んで自分でも実践してみようと考える人が必ずいるだろうから念のために忠告しておくと、彼女たちは彼氏のために売春に手を染めているが、根はどこにでもいるような普通の女の子にすぎない。だから、外国人慣れしている娼婦たちと同じような感覚で接すると間違いなく警戒される。また、麻薬常用者に占めるエイズ感染者の割合を考えると、彼女たちとの性交渉には相当なリスクがある(彼氏とコンドームをつけてセックスしているとはまず考えられないし、売春していればそれだけ感染リスクも高まる)。さらに、彼女たちは男性客を自由に選べる立場にあるため、タイ語が話せなかったり、容姿が著しく悪いようだとオファーに応じてもらえない可能性もある。最後に、タイ政府は未成年者が関連する売買春行為に対してかなり強いスタンスで臨んでいるため、もし未成年者との性交渉が発覚しようものなら、中長期的な入国拒否を食らうことは疑いない(タイの中学校には「女子はおかっぱ」という校則があるため、おかっぱ頭の女の子は中学生であると考えて間違いない)。
あさ、埃をかぶっていたクルマを洗いに出してから、ヂュラーロンゴーン大学政治学部の前にあるタイパーニット銀行サパーガーチャートタイ支店(タイ商業銀行赤十字支店)で当面の生活費である現金100万円をタイバーツに換えて入金し、アサンプション大学フワマーク校舎の裏にある食堂へ行ってアサンプション大学の学生と昼食をとった。かねてから一度は行ってみたいと思っていた修道院のようなバーングナー校舎を友人に案内してもらってから解散し、その後、トーングロー3街路にある日本料理屋 MARU で日本人の会社社長に夕食をご馳走になった。帰宅後にさらに別の日本人の友人から電話があって、サパーンプット、サナームルワング、カーオサーン通りへ酔い覚ましのウォーキングに出かけた。