タイの徴兵制度

「わたしの弟なんて、赤色の当たりくじを引いてしまったから軍隊行きよ。大卒だから1年間で除隊できるけど、まったく本当にツイていないわね」

このブログに投稿されていた読者からの質問に答えるために、この友人に実弟なんかいただろうかと疑問に思いながらも、タイの徴兵制について詳しい話を聞いてみた。

友人によると、タイの徴兵は抽選制で、4月から5月にかけてのこの時期に満21歳に達したタイ人の男子は役所へ出頭してくじを引かなければならないらしい。赤色のくじをを引けば兵役、黒色のくじを引けば兵役免除となる。兵役の期間は原則2年間だが、大学生は卒業まで抽選が猶予され、大学の卒業後も期間が1年間に短縮される。また、兵役に就くことを自発的に申し出ると兵役期間が半年に短縮され、国防学校(5年生と6年生に週1日の軍事教練が課せられている中等教育学校)の卒業生は兵役が免除されている。兵役に就いてから数ヶ月間が経過すると週1日程度の帰宅が認められるようになるが、それまでは兵舎での集団生活を余儀なくされるという。

逆に日本の徴兵制について友人から聞かれたので、「日本は憲法9条で武力を持つことが禁止されているから、徴兵制どころか軍隊もないよ。あるのは最新の兵器で完全武装している軍隊そっくりな『防衛部隊』ぐらいかな?」と答えたところ、「それって国家機密とかいうベールに包まれている超強力な軍隊のことなんじゃないの!?」と鋭いツッコミを受けた。確かにそのとおりかもしれない。

タイの徴兵制については、以前、徴兵逃れをするために住民票をバンコクからコーンゲンへ移した別の友人からも話を聞いたことがあったが、結局その時は徴兵逃れに関するノウハウについては教えてもらえなかった。

夕方、高架電車のチットロム駅前にあるセントラル百貨店へ行って腰にぶる下げるタイプの小さなカバンを探していたところ、「タイではそんな職人っぽいスタイルなんか流行らない」そうで、見つけることすらできなかった。たしかにタイという極端な階級社会で、職人と間違われるのはあまりにも不都合だ。その後、7階にある Food Loft へ行って夕食をとり、アマリアトリウムホテル2階のパブ Mingles で生演奏を聴きながらハッピーアワー半額(90バーツ)のカクテルを楽しんだ。

タイの陸軍に徴兵された友人を訪問してみた

2006.01.22

ABOUTこの記事をかいた人

バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。