バンコクにおける最近のパブ事情

「ソーングサルンや Booze はもう終わりね。 Pump Up! もブレイク寸前まで行ったけど、そろそろ女性ダンサーによる洗車ショーも飽きられてきたみたいだし。これからは Royal City Avenue にある Slim か Route-east のどちらかじゃないかしら」

夜、地下鉄のラートプラーオ駅前にあるセントラル百貨店から Royal City Avenue へ向かうクルマのなかで、友人はバンコクにおける最近のパブの流行についてこのように話していた。

タイの暑期にあたる3月から5月までの3ヶ月間にわたって続いてきた大学の夏休みも、残りあとわずかとなった。この時期、僕たちはそれぞれの大学で発表される学期末試験の成績に一喜一憂し、成績が悪かった教科については大量のウイスキーの水ソーダ割りとともに忘却の彼方へ葬り去る。

パブは、流行の旗手である大学生の客が増えるとともに人気が増し、それに便乗するように娼婦や中年男性が増えてくると衰退する傾向がある。

パブへ頻繁に通っていた半年ほど前の時点で、トーングロー10街路にある Booze はこのような理由から客が週末しか入らず退潮しつつあったし、トーングロー21街路にあるソーングサルングは仕事帰りの娼婦たちが手ぶらで男漁りをしているような状況だった。実際に声をかけられるたびに「どこの学生?」と尋ねていたが、返ってくる答えはいつも要領を得ないものばかりでひどくガッカリさせられた。ある女性は自らグルングテープ大学のマスコミ学部に通っていると言っておきながら、マスコミ学部のキャンパスがグルワイナームタイとラングスィットのどちらにあるかという問いに答えられず、一緒に来ている友人に助け船を求めるといったありさまだった。ソーングサルンは娼婦たちの巣窟ではないかと、後日、友人たちに聞いてみたところ、そんなのは世間の常識らしい。ラッチャダーピセーク8街路にある Hollywood や Dance Fever などは、バンコク人のあいだでは娼婦が多くイケてないディスコとして知られている。

富裕層に広い人脈を持っているこの友人は興味深いことを話していた。

「スクンウィット23街路にあるディスコ『ナルシスサス』といえば、やっぱり『アップ*』よね。ちょっとしたコネさえあれば未成年でも入れてもらえるし、麻薬だって店内にいる客を装った売人と面識があれば簡単に手に入る。だから、みんな気が狂ったかのように踊りまくってて大変なことになってるのよ」

アップ
テンションをUPさせるという意味もあるが、クスリをして(アープヤーして)ハイになることを暗示する際の婉曲表現として用いられることが多い。

別の友人は先日、トーングロー15街路にある Escude を勧めていた。この店の前では、数週間前に肩がぶつかった客同士が口論となり、発砲事件があったばかりだ(女性客のひとりが流れ弾に当たって死亡した)。

そんなカンジでどこが本当に流行っているのかいまひとつハッキリとしないバンコクのパブ事情だが、とりあえず数ヶ月前に Royal City Avenue でニューアルオープンしたばかりのハイソ系パブの Slim へ入ってみた。

平日にもかかわらず、店内は午後10時半には満席になり、午前零時ごろになると手ぶら組(アルコール飲料を注文していない客)が大量発生していた。娼婦を同伴している中年男性たちのグループも他店に比べればやや少なかった。ウイスキーの Johnnie Walker Red Label が900バーツとやや割高だったが、この店では英語曲しか流されないため、タイ語曲のリズムが苦手な人には向いている。

今晩、僕と友人のコンビは、店の客や従業員たちからタイ人の男性と日本人の女性のカップルに何度も間違えられた。上はヒラヒラとしたフリルのような装飾が施されている化学繊維生地の薄桃色の服、下は超ミニのスカートでスタイルの良さを最大限に強調し、しかも渋谷センター街のギャル顔負けの化粧をしていた。最新のサヤーム系ファッションだが、どちらかといえば香港や韓国のファッションに近かった。

きょうは、日本大使館の領事部が入っているスーミットタワーの1階にある True のオフィスへ行って滞納していたインターネットの利用料金を支払い、ビルの前にある日本料理店で早めの夕食をとってから、セントラル百貨店のラートプラーオ店まで友人を迎えに行き、 Royal City Avenue にあるパブへ繰り出した。

4 件のコメント

  • 初メールです。いつも楽しく読ませて頂いております。
    『Slim』なつかしいーーっ!今年の2月にタイ人の友達を訪ねて、初めてバンコクに行って来たのですが、その時連れて行かれたのが『Slim』…東京のCLUBとはちと違いますが、なかなかオシャレで、あのPUBスタイルが何だかとても新鮮で楽しかったです。ちょっと踊りずらかったけど…(笑)バンコクは東京よりもお金がかからずに、ハイソ?!な感じで遊べるのはイイですね。名前は忘れてしまいましたが、サイアムにあるフルフラットのマッサージ付きシートの映画館…ここも友達に連れて行かれたのですが、確か500バーツとかだったかなぁ??普通ではと–っても高いんですよね…でもいつもこんな所で遊べて羨ましい–っ!!て思っちゃいました。でも何でもタイの物価を“安い安い”って…これってとっても悪い日本人の感覚ですね。

  • 初メールです。いつも楽しく読ませて頂いております。
    『Slim』なつかしいーーっ!今年の2月にタイ人の友達を訪ねて、初めてバンコクに行って来たのですが、その時連れて行かれたのが『Slim』…東京のCLUBとはちと違いますが、なかなかオシャレで、あのPUBスタイルが何だかとても新鮮で楽しかったです。ちょっと踊りずらかったけど…(笑)バンコクは東京よりもお金がかからずに、ハイソ?!な感じで遊べるのはイイですね。名前は忘れてしまいましたが、サイアムにあるフルフラットのマッサージ付きシートの映画館…ここも友達に連れて行かれたのですが、確か500バーツとかだったかなぁ??普通ではと–っても高いんですよね…でもいつもこんな所で遊べて羨ましい–っ!!て思っちゃいました。でも何でもタイの物価を“安い安い”って…これってとっても悪い日本人の感覚ですね。

  • Keiko さん、はじめまして。いつもバンコク留学生日記をご覧くださりありがとうございます。

    最近流行のの「ナンレン系」パブですが、本当に踊りにくいですよね。僕もこの日、友人に激しく踊るよう誘われて、実際に腕や肩を引っ張られて踊らざるを得なくなってしまったのですが、やっぱりこの手の店では音楽に合わせて身体を軽く上下させる程度がちょうどいいのかもしれないと思います。

    やはり、激しい踊りをするのであればナンレン系以前の「タイディスコ」へ行くしかないのかもしれませんね。

    おそらく、タイの物価は日本人が日本で生活する際に消費する金額を考えれば、かなり割安感があると思います。

  • Keiko さん、はじめまして。いつもバンコク留学生日記をご覧くださりありがとうございます。

    最近流行のの「ナンレン系」パブですが、本当に踊りにくいですよね。僕もこの日、友人に激しく踊るよう誘われて、実際に腕や肩を引っ張られて踊らざるを得なくなってしまったのですが、やっぱりこの手の店では音楽に合わせて身体を軽く上下させる程度がちょうどいいのかもしれないと思います。

    やはり、激しい踊りをするのであればナンレン系以前の「タイディスコ」へ行くしかないのかもしれませんね。

    おそらく、タイの物価は日本人が日本で生活する際に消費する金額を考えれば、かなり割安感があると思います。

  • ABOUTこの記事をかいた人

    バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。