タイ最大手の銀行からもらった内定も蹴る

「きのう、バンコク銀行の与信部門から内定をもらったんだけど、どうしようか迷ってるんだよね。月給はわずか10,500バーツしかないし、オフィスのなかで書類と格闘するだけの退屈な仕事だし。ことわって、ほかの仕事を探そうと思うんだけど、どう思う?」

バンコク銀行は、タイのソーポンパニット財閥の旗艦企業で、総資産額1兆2400億バーツ。タイ国内に600以上、海外にも19の支店を展開している言わずと知れたタイの超一流企業だ。それだけに、初任給と職務内容が気に食わないという理由だけで、今回の内定を蹴ってしまった友人の判断については、日本人な価値観からすると理解しがたいところがあるかもしれない。

タイは転職社会であり、転職後の賃金は前職の待遇が考慮されてうえで決まる。そのため、最初の賃金が低いと、将来的な賃金アップも遠のいてしまう。しかも、タイの会社では職種によって賃金が決まり、社内の賃金格差も大きいため、就職する企業のブランド力は、タイ人にとっては賃金ほど重要なポイントではない。

タイの民間企業には総合職や一般職といった日本のような採用区分がなく、各社とも部門ごとに採用活動を随時行っている。ジョブローテーションの制度もないため、タイ人の会社員は、採用された部門の業務に特化して職務能力を高めていくことで、自己の栄達を図ることになる。

きょうは、電話口で友人と語り合ってから、トーングロー15街路にある日本料理屋「大戸屋」へ行って別の友人とビールを飲んだ。でも、大戸屋は飲み屋ではなく定食屋だから、ツマミにするには一皿のサイズが大きすぎて、種類も物足りなかった。やはり、酒を飲むなら飲み屋へ行くべきなんだろう。

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バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。