ラオスまでのドライブ

「なんでそんなところにいるの!? なんのために行ってるのよ?」

翌15日午前9時半、午後の講義「タイ文化論」をさぼって、バンコクから625km離れたところにあるタイ東北部のラオスとの国境の街、ノーンカーイのショッピングセンター Tesco Lotus で、当面必要となりそうな生活物資を調達していた。そこにバンコクにいる別の友人から電話があった。

20040614-5翌15日午前1時半、スィーロム通りにある珈琲屋からスクンウィット13街路にある住まい Sukhumvit Suite の自室へ戻り、その後、ラオスの首都があるウィアングヂャンへ向かって、友人と交代しながらクルマを運転した。

午前2時半頃、パホンヨーティン通り(タイ国道1号線)のサラブリー県ノーングケー付近で、クルマにガソリンがほとんど残っていないことが判明した。燃料メーターの針はすでに Empty の文字の真上まで来ていた。タイでは、貿易黒字拡大政策の一環として、午前零時から午前5時までガソリンの販売が禁止されているため、朝まで待たないと給油できない。しかも、つぎの市街地があるムアングサラブリー郡までは、あと20km以上あって、このままたどり着けずに野宿を余儀なくされる可能性もあった。

「7キロ先だ。電動式の給油ポンプでは、給油してあげたくても技術的に不可能なんだ。しかし、ここからサラブリー方面へ7キロほど行ったところに、手動ポンプを使って細々とガソリンを売っているスタンドがある。そこなら、きっと売ってもらえるだろう」

照明がついているガソリンスタンドを見つけるたびに、ダメ元でクルマを給油ポンプの横に寄せて、ガソリンスタンドの従業員と粘り強く給油の交渉を続け、同時に情報の収集にも全力をあげた。ようやく5件目のガソリンスタンドで有益な情報を入手して、掘っ立て小屋の商店のようなガソリン屋へ行ってオクタン価95のガソリンを40リットル給油した。値段は市場価格よりも2バーツ高い、1リットルあたり25バーツだった。

途中、ナコーンラーチャスィーマー(バンコクから277km)、コーンゲン(同379km)、ウドーンターニー(同572km)、ノーンカーイ(同626km)の各都市で、それぞれドライブを中断してホテルに泊まることを検討したが、結局、目的地のウィアングヂャンまで一気に移動することにした。どうせ休むなら、気が済むまで休んだほうがいい。

午後11時、生活物資の調達を終えてノーンカーイ国境に到着した。出国ゲートの4番窓口で代筆屋に依頼して自家用車の持ち出しに必要な書類を整えてもらい(100バーツ)、5番窓口で自家用車の出国許可をもらい、6番窓口で出国審査を受けた。タイを出国するときにクルマに積んである荷物は調べられなかった(2004年6月1日付日記と2005年1月28日付日記参照)。

国際通行許可証と郊外の電脳街

2005.01.28

タイ籍自家用車のラオスへの持ち出し要件(ウィアングヂャン・ビザ更新旅行1日目)

2004.06.01

20040614-2タイ側のノーングカーイ国境からコーング川に架かるタイ・ラオス友好橋を渡ってラオス領内へ入ると、ラオスの入国係官がやってきて、いきなりホースでクルマのタイヤに水をかけられた。友人によると、これは都市の清潔を保つために中国の大都市などで導入されている制度らしいが・・・・・・どう考えてもラオスの道路のほうが舗装状態が悪く、タイヤも汚れやすい。タイヤの洗車料金として10バーツ請求された。

ラオス側のサイソンペーング国境において、入国手続にかかった費用はつぎのとおり。

自動車の持ち込みがともなう入国手続にかかった費用

  1. 到着ビザ発給手数料10アメリカドル(または1,500バーツ)
  2. パスポート保持者の入国費用10バーツ(または2,500ギープ)
  3. 自動車保険177バーツ
  4. ラオス国内の4人乗り自動車走行許可証発行手数料200バーツ(または8,000ギープ)
  5. 謎の費用10バーツ

20050614-3サイソンペーング国境のラオス人係官の話では、このとき発行された自動車走行許可証ではウィアングヂャンとその近隣県にしか行けないということだったが、許可証のラオス文字を気合いで解読してみたところ、 “ກຳນົດເສັ້ນທາງເຖິງແຂວງ: ທັ່ວປະເທດລາວ”(ラオス全土で走行可, ガムノットセンターングトゥングカウェーング:トゥワパテートラーオ)と書かれていた。ラオスに入国するときには、クルマに積んである荷物を簡単に調べられた。

ラオス入国後、国境から北北西におよそ20kmのところにある首都ウィアングヂャンまでの道のりを、途中何度も道に迷いながら、案内標識がない悪路のなかを自分の感だけを頼って運転し続けた。

20060614-4正午すぎ、ウィアングヂャンの市街地の西のはずれにあるホテル Novotel に到着した。チェックインを終えて客室まで案内されると、すぐにベッドへ倒れ込んだ。バンコクからウィアングヂャンまで徹夜で運転するのは、体力と精神力を想像以上に消耗した。宿泊費は通常75ドルのところ旅行業者特価で1泊50ドル(通常75ドル)、無線LANインターネットは1日18ドルだった。

ABOUTこの記事をかいた人

バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。