「こんな日は、旧式の車両で営業運転をしているような個人タクシーじゃないと乗せてもらえないでしょう。新型のタクシーでは、もし渋滞にはまってしまったら採算がとれませんから」
スクンウィット13街路にある住まい Sukhumvit Suite の前で、雨のなかタクシーを待っていたところ、駐車場の警備員がアドバイスをくれた。
昨日と今日の2日間、バンコクの中心部にあるヂュラーロンゴーン大学では、学位授与式が行われている。そのため、大学に隣接しているプララームヌング通り(ラーマ1世通り)、パヤータイ通り、アングリードゥーナン通り、プララームスィー通り(ラーマ4世通り)では、大規模な渋滞が発生している。タイでも日本と同じように乗車拒否は違法とされているが、ヂュラーロンゴーン大学の周辺を通るルートはほとんどのタクシーが断っているようだ。
しかし、タクシーの運転手にも言い分はある。タイのタクシー運転手は、半日あたり350バーツ~600バーツの料金を支払って民間の企業やタクシー組合から車両を借りて営業している。だから、毎日午後4時と午前3時には車両基地へ戻って車両を返却しなければならない。建前上、これが乗車拒否の理由として使われている。ところが、それが拡大解釈されて、渋滞するところを運転していても利益が出ないという理由でも乗車拒否されるようになっている。
旧式の車両で営業運転をしている個人タクシーは、新型車両のタクシーに客をとられているため選り好みしている余裕がないうえに、車両の返却時間もなく、車両本体の減価償却も終わっているため、多少不便なところでも行ってくれる。ちなみに、旧式といっても、タイでは初回登録から12年以上が経過している車両は営業できない決まりになっている。
やっとのことで乗ることができたタクシーの運転手によると、ヂュラーロンゴーン大学でおこなわれた学位授与式で昨日、失恋した男子学生が拳銃自殺を図ったという。
きょうは大学の構内が通行止めになっていたので、工学部前のパヤータイ通りでタクシーを降り、プラテープ(スィリントーン王女)を迎えるために構内の道路の両側で整列している体育学部の学生たちの後ろを700メートルほど歩いて、いつもより20分遅れで文学部4号館に到着した。
講義終了後、雨のなかを高架電車のサヤーム駅までトゥックトゥックで移動して、そこから高架電車で帰宅した。夜、近所のバーで偶然古い友人に会って、ビールを飲みながら閉店まで語り合った。