タイ大学めぐり その10

「まったく可笑しな話なんだけど、わたしの大学ってヂュラーロンゴーン大学の真似事ばかりしていて、どうも自らが私立大学であるという自覚に欠けているのよね。制服の着こなしについてウルサイのはまあいいとしても、大学の職員なんか民間セクターの給与所得者の分際で、『先生』と呼ばれないと事務手続すらしてくれないのよ」

夕方、ラートプラーオ107街路にあるラッタナバンディット大学へ友人と出かけ、数ヶ月前に別の友人から聞いた話の真相について調査した。新校舎の中央には樹木が生い茂る中庭があって、道路を挟んだ向かい側にはこぢんまりとしているが、学生向けの真新しいショッピングモールがある。

旧校舎のなかを散策していたところ、掲示板に「制服を正しく着用している今月のニスィット」と書かれている掲示物を見つけた。そこには学生約30人の全身写真が掲載されていた。タイの大学ではどこも同じような問題を抱えているが、社会的な評価が中途半端な私立大学は、自らの品位を保つために、特に努力を強いられている(ヂュラーロンゴーン大学にも制服着用に関する学則はあるが半ば形骸化している)。

大学が学生のことを「ニスィット」と呼んでいることを、友人はヂュラーロンゴーン大学の真似事をしていると言っていたのだろうか。ちなみに、学生を「ナックスックサー」ではなく「ニスィット」と呼んでいる大学はタイの全国に9つある。

学生をニスィットと呼んでいる大学
ヂュラーロンゴーン大学(国立), ガセートサート大学(国立), スィーナカリンウィロート大学(国立), ブーラパー大学(国立), マハーサーラーカーム大学(国立), ナレースワン大学(国立), タックスィン大学(国立), マハーヂュラーロンゴーンラーチャウィッタヤー大学(国立特殊), ラッタナバンディット大学(私立)

午後、スィーロム通りにある珈琲屋 Bug and Bee へ友人と出かけ、そこでタームペーパーを書いてから、夕方頃、チョークチャイスィー通りにあるプラクルアングラーング屋へ出かけた。その帰りにラッタナバンディット大学へ寄って、ふたたびスィーロム通りにある珈琲屋へ戻り、午後11時までタームペーパーを書き続けた。

ABOUTこの記事をかいた人

バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。