「当初予定だった200に対して、この24という数字はいったいどういうことだ? それで今後3ヶ月間の資金繰りに問題はないのか?」
昼すぎ、スクンウィット49街路にあるサミティウェート病院の病室へ友人の会社社長の見舞いに行ったところ、ナコーンルワングタイ銀行系のファミリー企業の幹部たちが、先日あらたに発売されたばかりの清涼飲料水の売上実績について話し合っていた。この商品はセブンイレブンなどで広く市販されているペットボトル入りの日本茶だが、発売開始以来、売上が伸び悩んでおり、かれこれ40分にもわたって堂々めぐりの議論が続いていた。さすがに銀行系の財閥とだけあって、金融や財務に関連する経営知識には明るいようで、関連する英単語が頻繁に飛び交っていた(タイでは、専門用語はタイ語より英語のほうがよく使われる)。
タイのテレビドラマに登場するような「ハイソな家庭」をはるかに上回るスーパーハイソな人たちだったが、テレビドラマとは違ってバンコクの中流家庭の人々のように振る舞っていたのは意外だった。まあ、みんなが役者のようにオーバーなアクションをしていたら気持ちが悪いから、これぐらいがちょうどいいのかもしれない。上座から3番目のソファーに座るよう勧められたが、あまりに恐縮して2分もしないうちに席を立った。もちろん、こんなところで僕ごときに発言できることは何もなかった。
昼すぎ、アソークモントリー通りにある西洋料理店 Neil’s Tavern へ行って、タイの軍官僚たちと昼食をとった。ある陸軍大将によると、タイの軍階級は国王から個人に対して下賜されたものであるため、個人の意思によって勝手に放棄することは許されておらず、退役後もそのまま生涯にわたって名乗り続けなければならないという。タイ首相のタックスィン・チンナワット警察中佐をはじめ、軍警察を退役後ほかの地位に就いた人々が前職の階級を名乗っているのには、そのような事情がある。また副官の方から、さまざまな政治的危難から身を守るノウハウについて教えていただいた。
その後、スクンウィット49街路にあるサミティウェート病院へ友人の会社社長を見舞いに行き、その後、トーングロー3街路にある日本料理屋 MARU で夕食を、スクンウィット23街路にあるイタリア料理店 GIUSTO でワインをご馳走になった。