「わたしたちのグループは今晩、 Slim へ行く予定になってるんだけど、個人的にはもうムリってカンジなのよね。このあいだ行ったときなんて、オッサンと連れ出しバーの店員の巣窟と化していたし。さっきの Inch は、初期の Slim みたいでまあまあ良かったけど、女の子のレベルがちょっとヤバすぎた。ってゆうか、わたしたちが一番可愛いようでは絶対に問題アリよね」
午後9時半、ラッチャダーピセーク通りにあるパブ Inch に落第点を評価を下して、すぐ隣にある不思議なパブ「ヤオワラート」へ向かった。
パブ「ヤオワラート」は、ひときわ独特なオーラを放っていた。店内の至る所に中国語の看板が掲げられており、ステージの左右にも中国語の赤い掛け軸がある。バンコクのパブといえば普通、最先端の西洋文化を象徴するかのような作りをしているが、これではまるで植民地時代の上海租界地のようだ。入口の近くには、複数ある飲茶をその場で選んで購入できる売店もあった。
個人的には、タイポップスの生演奏を聴きながら、広々とした席で飲み食いできるため気に入っていたが、雰囲気と客層をもとに店を選ぶバンコク人にとって、この店は食べ物を重視しすぎていてオヤジっぽすぎたかもしれない。タイでは忘れた頃にチャイナブームが巻き起こるが、この店はその流行を作り上げることに失敗した。
昼すぎ、スィーロム通りにある珈琲屋へ行って友人たちと作業をした。その後、高架電車サヤーム駅の前にあるサヤームパラゴーンで別の友人たちと創作イタリア料理を食べてから、パブ Pump Up! の裏に新たにオープンした Inch とヤオワラートを見て回った。