「こんな豪邸に住める裕福な人たちは、そもそも電気代なんて気にしていないんじゃないかしら? 部屋の細部をよく見ると、内装の木枠や壁紙を工夫するだけで、高級感が出せると分かるでしょう」
午後3時、ラッチャダーピセーク53街路にある分譲住宅のモデルルームを内覧した。
この物件は、広さ98坪の敷地に建てられている鉄筋コンクリート造3階建ての戸建住宅で、販売価格は土地と建物本体の合計で16,530,000バーツだった。中年の女性販売員によると、このモデルルームと同じグレードの内装を施すためには、さらに約10,000,000バーツの追加費用がかかるという。こんな家に住むことができれば、タイの上流階級の生活を思い存分堪能できるのかもしれないが、それでも26,530,000バーツの出費に見合うだけの物件かどうかについては疑問が残った。自分でラングスィットの付近に1,000,000バーツで120坪の土地を購入して、そこに本体価格4,000,000バーツの住宅を建て、内装工事に1,000,000バーツをかけたほうが、4分の1以下の費用でよほど良いものができそうな気がする。なお、この物件をローンで購入するためには、内装工事費の10,000,000バーツのほかに、本体価格の3割にあたる5,000,000バーツを頭金として支払い、毎月76,400バーツずつの返済を25年間にわたって続けていけるだけの経済力が必要となる。
ちなみに、タイでは外国人による土地の所有が土地法の86条で禁止されているため、この物件を日本人が購入することはできない(タイで外国人が購入できる不動産は、コンドミニアムと呼ばれている分譲集合住宅だけに限られている)。
この物件の間取りは3LDKだが、並の3LDKではなかった。▽1階:駐車場、主リビング、食堂、台所、使用人室、第4トイレシャワー室、第5トイレシャワー室、▽2階:書斎、主寝室、主寝室専用衣装室、副リビンク、ピアノ室、主トイレシャワー室(使用人室の3倍の広さがある)、▽3階:第2寝室、第2トイレシャワー室、第3寝室、第3寝室専用衣装室、第3トイレシャワー室。1階の主リビングから3階まで通じている階段には扉がなかった。友人が冒頭で指摘していたとおり、こんな家に住んでしまったら、エアコンの電気代だけでも恐ろしいことになりそうだ。
その後、クルマのホイールを買いに出かけたが、日曜日のため、どの店も閉まっていた。夜、トーングロー15街路の向かいにある居酒屋「美味しんぼ」へ行って別の友人と酒を飲み、タイの税制について教えてもらった。
* 1ライ=400ターラーングワー=1600平方メートル、1坪=3.30578512平方メートル=0.826446275ターラーングワー