タイで発禁になった売春ドキュメンタリー本「闇の中高生」

午前11時、カンボジア王国のバンテイメンチェイ州ポーイペートにあるホテル Tropicana Resorts and Casino で朝を迎え、正午にチェックアウトした。午後2時40分、ホテル Poi Pet Resort Hotel & Casino で原資回復を賭けたバカラをプレイ中にタイ現地法人の従業員から電話があって、日本へサンプル品を持ち帰ってほしいという依頼を受けた。戦績はポーカーで400バーツの負け、バカラで400バーツの勝ちだった。

午後3時、サゲーオ県アランヤプラテート郡にあるローングルア市場前の国境からタイへ戻り、市場で OMEGA の腕時計の模造品を1,200バーツで購入した。今回のカンボジア旅行ではカジノで儲けたため、バンコクからカンボジアまでの交通費のほか、カンボジアでの宿泊費や食費等の旅行費用を差し引いてもプラスになっていたが、この腕時計を購入したことで、ちょうどチャラになった。でも、海外旅行の3日間をタダで過ごせたと考えれば悪くない。

午後3時半、ローングルア市場の前からカジノホテルの提携旅行会社が運行している観光バスに乗り、午後7時20分に高架電車オーンヌット駅の前で下車した。高架電車アソーク駅の改札口前で現地法人のタイ人女性副課長からサンプル品を受け取り、その後、地下鉄でルンピニー駅まで移動して、駅前にある中華料理店で夕食をとり、スラウォング通りにあるマッサージ屋 King’s Body House へ行ってボディーマッサージ(120分間, 330バーツ)を受けてから友人と別れた。

午前零時、ペッブリー5街路にあるセブンイレブンの前で別の友人と落ち合い、プララームホック22街路にある友人宅へ行って、劇場アニメ「ドラえもん―のび太の恐竜」(2006年)の DVD を鑑賞した。ベッドの上に放置されていたエッセイ มัธยมสีดำ (黒色の中等学校生=闇の中高生)へ手を伸ばすと、友人がそのあらすじを説明してくれた。

「わたしはきっと(売春をしている女子中高生が)いると思うわ」

友人によると、闇の中高生は、陸軍テレビ(チャンネル5)で放送された売春ドキュメンタリー番組に出演していた中高生たちを継続取材して、彼女たちが体験したことをまとめたエッセイ集で、その前年にタイで出版された เรื่องเล่าสาวไซด์ไลน์ (サイドライン娘のストーリー=現役女子大生やOLたちの売春実話)とともに世間を大いに騒がせたという。

タイは日本人のあいだで買春天国としてよく知られているが、外国人向けの観光産業とタイ人向けの性風俗産業は切り離して、それぞれを別個のものとして考えないと、本質を見失いかねない。その程度のことが社会問題になるのだから、タイの市民社会はまだまだ健全なのかもしれない。日本では、援交をやっている女子高生なんて珍しくも何ともないし、だれもそんなエッセイなんかに見向きもしないだろう。翌28日の午前8時に就寝した。

なお、タイでは性欲をかき立てる書物の出版が法律で禁止されており、この本も発禁処分を受けた。

ABOUTこの記事をかいた人

バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。