タイ映画「12月32日」

午前10時10分、ピングラーオにあるセントラル百貨店に到着して、開店する午前11時になるまでの時間を友人と電話をして潰した。11時10分、セントラル百貨店の4階にある印刷屋へ行って、きのう友人から借りてきたばかりの発禁本「タイ国王暗殺事件」(レイン・クルーガー, 1974年)の複製を依頼してから、11時20分に美容室 Hair Now でストレートパーマをかけた。

午後4時半、ラチャヨーティン交差点にある映画館メジャーで、友人とタイ映画「12月32日」を鑑賞した。

■ あらすじ

ノートは、サッカーの試合中に頭をゴールポストにぶつけて頭蓋骨を骨折し、「何か重要なこと」を忘れてしまった。脳の後遺症について詳しい検査をするために、恋人のヌン、義妹のメー、メーの婚約者のヌムと病院へ行ったところ、医者から身近な人が世話をすれば早く思い出せるようになるかもしれないとアドバイスを受けた。

一方のヂョーは、子供のころにウンコを漏らしてしまったトラウマから、友人や同僚の前で異常な発作を起こす持病を抱えており、それを治療するために病院へ来ていた。診察待ちの整理券に書いてあった数字の6と9の違いがあいまいだったため、ノートと同時に診察室に入ってしまい、その縁で、すぐ隣で困り果てているノートを助けることを決意した。その過程で、ノートの携帯電話からたくさんの女性たちの写真が発見され、なかでも一際美しい女性のアムが、ノートが思い出そうとしている女性であるに違いないとあたりをつけて、ノート、ヂョー、メーの3人でチアングマイへ向かった。

メーとヌムが婚約式を挙げる12月31日、ノートはバンコクでヂョーと酒を飲んでいたところ、自分はメーが好きであることを思い出して、急いで婚約式の会場へ向かったが、途中で飲酒運転の現行犯として警察に逮捕されてしまい、とうとう想いを伝えることができなかった。翌1月1日にはメーがドイツへ留学に行く予定になっていたが・・・・・・。

■ 感想

この作品では、波乱のない穏やかな雰囲気のなかに、ショートコントがふんだんに織り込まれている。バンコク的なお笑いのため、タイ東北部的な下品な笑いにウンザリさせられることもない。セープサニットのような作品が好きなら、きっと気に入ってもらえるだろう。

しかし、ひとつひとつのサイドストーリーが深く掘り下げられすぎているため、少し気を抜くと、メインのストーリーがどうなっているのか分からず、話についていけなくなる。それに、舞台をわざわざチアングマイへ移す必要があったのかについても疑問が残る。旅行中のメーの奇行や喜怒哀楽があまりにも強調されすぎていて、主人公のノートやアムが完全に脇役の扱いとなってしまっている。

社会的な主張がまるでないから、難しいことを考えずに、純粋にタイ映画を楽しみたいという人にはオススメだが、まじめにレビュー記事を書く気分にはなれない。

ABOUTこの記事をかいた人

バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。