午前中、宿泊先のユザナホテルに現地の専門家を招いて行われたミャンマーの外交に関する講義に出席してから、中国からの援助を受けて建設されたヤンゴン川に架かる橋を渡って、首都ヤンゴンの近郊にあるシリアムへ向かった。そこで今回の旅行で最初となるヂェーディーを見せられ、その後、その南にあるイェレーという水中寺院に立ち寄った。
夕食前、ヤンゴンにおける商業の中心地にある公営市場「ハッピーワールド」を見て回った。民族衣装や生鮮食料品などが豊富に取りそろっており、現地の人々で賑わっていた。交通の要衝でもあり、京成電鉄バス、新京成バス、神奈川中央バス、都営バスなどの中古車両がひっきりなしに発着していた。老朽化が激しいヤンゴンの市場と、日本でもまだまだ使えそうな日本製の中古路線バスによるコントラストが妙に印象的だった。
道行く人々は、老若男女を問わず、皆がロンヂーと呼ばれるスカートを腰に巻いていた。見た目には少し違和感があるこの巻きスカート(900~3,000ヂャット=1ドル~3ドル)だが、日頃から灼熱の炎天下でジーンズ生活をしている僕にとっては、風通しがよくて快適な画期的なファッションだった(この旅のあいだ、ずっとロンヂーを履いて、木陰に隠れてはパタパタとさせて涼んでいた)。
夕食前、ユザナホテルの裏にある通りを散策していたところ、道路脇にある屋外型の公衆浴場(?)で老若男女を問わず皆がロンヂーを履いたまま水浴びをしているのが見えた。公務員や銀行員もロンヂーをはいて出勤しており、部屋着から余所行きの服、そして水着(?)至るまでさまざまなシチュエーションに対応できる衣服として人々の生活に深く根付いているようだ。
夜、小洒落た高級中華料理店へ行って夕食をとってから、クラスメイトたちとホテルのロビーに集合して、クラブ「パイオニア」へ出かけた。 入場料は1ドリンク付きで4,500ヂャット(おそらく外国人料金)だった。西洋人ひとりを含む僕たちアジア諸国人10人のグループは、フロアの一番奥にあるテーブルをふたつ占拠して、カンボジアのテレビ局が生中継している欧州サッカーの試合を眺めながら店内が盛り上がるのを待っていた。当初、ミャンマー人はロンヂーをはいてクラブに来るのかと心配したが、盛り上がってくるにつれて増えてきた若者たちはいずれもタイ系または日本/台湾系のオシャレをしていて胸をなで下ろした。タイより社会風紀の統制がとれているためか、グループ同士のあいだにある壁が日本以上に高いような気がした。僕たちはそんな雰囲気を無視して、狂ったように踊りまくり、タクシーでホテルへと戻った。
タイでの生活のなかで、僕は「美白こそ究極の美」というタイ人的な価値観にすっかりと馴染んでいる。それだけにミャンマー人女性の肌の黒さには心底ガッカリした。