翌4日午前零時半、ウォングウィアンヤイにあるロータリーの一角に、愛車の BMW 318i を駐めて、その外周を友人の日本人と徒歩で一周してみた。
ウォングウィアンヤイは、プラチャーティベーク通りとラートヤー通りが交わるロータリーで、日中は都心部と西部のトンブリー地区を結ぶ交通の要衝として賑わっている。ロータリーの中心には、円形の小さな公園があって、トンブリー朝を興したタークスィン王(1734-1782)の像が建っている。ところが、午前零時をまわると、交通量もまばらになり、まるで廃墟のような怪しさを帯びてくる。この一帯の治安の悪さを肌で感じ取り、スリやひったくりに細心の注意を払いながら、ロータリーの外周を時計回りに歩いた。西側の外周にあるタハーンタイ銀行(TMB銀行)の付近にさしかかったところで、身なりの貧しい女性たちのグループが僕たちの接近に気づいて、顔をあげて声をかけてきた。
“ไปเที่ยวป่าว?”
「出かける?」
ムリだ。あり得ない。不気味すぎる。
彼女たちの容姿はあまりにもひどく、娼婦をオンナとして見なしている一部の日本人男性たちでも、これに性的な魅力を見出すためには、相当な苦労を強いられるに違いない。世紀末的な悲壮感を漂わせている眼差しと、今にも匂ってきそうな服が、街娼たちがおかれている社会的・経済的な境遇をハッキリと物語っていた。彼女たちと金を出してまで性交渉したいと思う奇特な人なんて、本当にこの世にいるのだろうか?
(ちなみに、バンコク人の価値観の影響をモロに受けている僕たちは、もともと娼婦たちを女性とはみなしていない)
あまりの不気味さに、街娼たちから目を背け、イントラピセーク通りがあるほうへ向かって早足で移動し、横断歩道の中央(大通りの中央分離帯)からロータリーの全景を眺めていたところ、ふたり組の男女が道路を渡って、ロータリーの中心部分にある公園のなかへ入っていく様子が見えた。まったく、こんな雰囲気の悪い場所で、今にも匂ってきそうな女性と、いったい何をはじめるつもりなんだろうか。
キモチ悪すぎる。
その後も、街娼たちに声をかけられながら、ロータリーの外周をひとまわりして、クルマが駐めてある場所まで戻ってきた。
ちなみに、バンコク都内で有名な街娼スポットはつぎのとおり。
- ウォングウィアンヤイ(約20人, 27-40歳, 300バーツ前後)
- スクンウィット3街路から17街路までの一帯(約200人・18-35歳, 1,300バーツ前後, 地方出身のゴーゴー嬢が中心, 外国人向け)
- サヤームホテル前(約60人, 18-30歳, 2,000バーツ前後, 地方出身のソープ嬢やバンコク出身の非行学生が中心)
- 王宮前広場サナームルワング(約35人, 15-23歳, 200-700バーツ, バンコク出身の中高生や地方出身の学生が中心)など
きょうは、ヂャトゥヂャック週末定期市へ行って友人と買い物をしてから、スィーロム通り沿いにある珈琲屋に立ち寄った。トーングロー15街路にある日本料理屋「大戸屋」で夕食をとり、ウォングウィアンヤイにいる街娼たちを見物してから、サパーンプットにある花卉市場へ出かけた。