富豪はすぐ身近に

「5つ星ホテルのオーナーだよ」

この世界にいると、ときどきダイニングテーブルに頭から突っ伏したくなるときがある。もちろん、実際に突っ伏してテーブルの上に乗っている料理を台無しにしてしまうわけではないが、あまりの勢いに、鼻先を擦り剥いてしまったかのような気分になるのはなぜだろうか。

タイは貧富の格差が激しい国だから、どこに富豪の娘がいて、いつどこで知り合っていたとしても決して不思議ではない(もちろん娼婦ばかりを相手にしているような一部の日本人たちにとっては永遠に無縁でいられる話だ)。しかし、これまで典型的な中産階級だと信じてきたプライベートの友人が、実は5つ星ホテルのオーナーの娘だと聞かされると、不思議な感覚にとらわれる。

昼、アソークモントリー通りにある商業ビル「スーミットタワー」9階の日本大使館領事部へ行って、査証欄の増補を依頼していたパスポートを受け取り(翌日仕上がり, 961バーツ)、スィーロム通り沿いにある珈琲屋 Bug and Bee へ出かけた。夕方、ンガームウォングワーン通りにある大型スーパー Big-C のタイ料理屋で、鼻の先をさすりながら別の友人と夕食をとり、買い物をした。

これとは別の友人が今日、バンコクの中心部から60キロほど北東へ行ったところにあるパトゥムターニー県ラングスィットにバーンフェート(2連棟式の2階建住宅)を購入した。購入価格は約200万バーツ(約600万円)で、銀行から借りている住宅ローンを30年かけて返済する計画を立てている。返済額は、利子や頭金がゼロと仮定して単純計算をしたとしても、月々5,555バーツになる計算になる。

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バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。