「だって、タイでは国会議員や政府高官がマフィアだからねえ」
きょうは、プララームサーム通り(ラーマ3世通り)にあるセントラル百貨店へ行って、タイ映画「トムヤムグング」を鑑賞した。上映終了後、友人がゲッソリとした表情で、作中に登場したマフィアたちが中国人である理由を説明してくれた。たしかに、公権力を手中に収めているタイのマフィアを敵に回すような映画を作るのはあまりにも危険すぎる。友人たちのなかには、「タイの国家機構そのものが制度化されたマフィアだ」という意見もある。
タイ映画「トムヤムグング」(サハモンコンフィルム配給)の制作には、かの大作「スリヨータイ」に次ぐタイ映画史上第2位となる約3億バーツもの巨費が投じられ、公開前から世界的な大作となることが期待されていた。
ストーリーはつぎのとおり。
グローバル化の流れは、農民の子「カーム」(パノム・ユィーラム演)の人生を変えた。カームは、象の飼育は国王陛下から信託された責務と信じており、象の親子「ポーヤイ」(父象)と「コーン」(子象)を自分の命より大切にしていた。ところが、ある日、タイ政界の大物が現れて、象の親子は連れさえられ、オーストラリアへ売り飛ばされてしまった。カームは象の親子の救出を決意して海を渡る。
オーストラリア・シドニーの街で、コーンは現地のタイ人警官「マーク巡査部長」(マム・ヂョックモック演)とタイ人の娼婦「プラー」(バンゴット・コングマーライ演)による支援を受けながら象の救出を試みるが、その前に「マダム・ロス」(ヂン・スィング演)率いる中国マフィアや無数の格闘家たちが立ちはだかった。
カームの大陸を越えた戦いが、いまここに始まる。(続きは映画館でご覧ください)
この作品は、香港映画と比べ、社会的なメッセージが希薄で技の種類にも多様性を欠いている。