「これを見てよ! スライダー(川の岩と岩のあいだの部分にある急流部分)で、ひざを岩にぶつけてしまったみたいなの。テンパっていたからよく覚えてないけど、もしかしたら正しい姿勢がとれていなかったのかしら。このあたりにも、あすには大きな青あざができているかも。それで、あなたは大丈夫だった?」
昼すぎ、プラーヂーンブリー県ナーディーにある観光名所「ゲングヒンプーング」へ行って、友人たち10人とラフティングと呼ばれる急流下りを体験した。川沿いにある食堂で怪我の様子を互いに確認しあっていたところ、友人の膝にできた擦り傷のほか、左足のいたるところに打撲傷を見つけた。この友人の怪我がもっとも大きく、ほかの友人たちも臀部などを岩にぶつけたそうだが、幸いにも僕は左足の親指と中指を軽く岩に擦っただけで済んだ。
ラフティングとは、ラフト(筏)の代わりに大型のインフレータブルボート(ゴムボート)に乗って急流を下るスポーツの一種で、ゲングヒンプーングでは10人乗りのボートが使われていた。レンタル料金は一艘につき2,500バーツだった。ボートの舵を取っていたふたりのインストラクターは、タイでサービス業に従事している従業員としては珍しく、しっかりとしていてとても心強かった。途中、みんなでボートから下りて生身のままで急流を下ってみたところ負傷者が続出したが、プールに設置されている大型の滑り台のように安全が保証されていないだけにスリルがあった。山道を歩いてから、オールを漕いで船の舵を取り、川泳ぎをするという今回の体験は、大都市バンコクにおける日常生活のなかで慢性的な運動不足に陥っていた僕や友人たちにとって、なかなか良い運動の機会となった。
インストラクターによると、スライダーの前では足を下流のほうへ向けてまっすぐに伸ばし、できるだけ高くあげておくと怪我が防げるという。そのとき僕は生命の危険を強く感じていたので、その助言を忠実に守っていたが、果敢にもスライダーへ頭から突っ込んでいった友人たちは肩などを強く打っていた。
ゲングヒンプーングへ行くときには、バスタオルや着替えのほか、できれば石けんなどもあらかじめ用意しておきたい。僕は「滝へ遊びに行く」としか聞かされていなかったため、タオルを事前に用意しておらず、やむなくシャワー室から出たあとに自分が脱いだ服で水分を拭う羽目になった。
午前5時半、ヂャルーングルング62街路にある南バンコク民事裁判所の前で友人たちと集合し、2台のクルマに分乗してバンコクから北東へ200kmほど行ったところあるプラーヂンブリー県ナーディーのタップラーン国立公園へ行き、観光名所「ゲングヒンプーング」でラフティングを体験した。帰路、ナコーンナーヨック県にあるプラヂュンラヂョームグラーオ士官学校を見学し、パトゥムターニー県内で夕食をとった。参加費用はひとりあたり780バーツだった(ラフティング代のほか食事代やガソリン代などを含む)。