国立マヒドン大学医学部付属ラーマーティッボディー病院

深夜になってアルバイトを早退したエーンの体調が悪化したためエーンの友人とともに病院へ連れて行った。

自分が体調を悪くしたときには5つ星ホテル並みに豪華な私立バムルングラート病院を利用しているけれど、医療費も5つ星ホテル並みに高額なので月給6,000バーツのエーンに支払えるはずがない。しかもタイには国民皆保険のような制度がないため、個人で民間の健康保険に加入するか、会社が保険費用の一部を負担する公的保険に加入する必要があり、無保険の大学生アルバイトであるエーンとしては国立病院の中から比較的評判の良いところを選ぶしかない。

午前零時頃、プララームホック通りにあるラーマーティッボディー病院へタクシーで向かった。こんな深夜にもかかわらず、待合室には50人以上もの患者が順番待ちをしていた。

集中タイ語講座の講師によると、国立病院は医療費は安いが待ち時間が長く、私立病院は待ち時間は短いが医療費が高いという。治療の効果は大差ないそうだが、さすがにバムルングラート病院のような過剰な装飾は見当たらない。

それでもタイの国立病院は想像よりだいぶまともだった。一緒に来たエーンの友人によると、この病院は国王の医療を担当しているため国立病院としては例外的な位置づけにあるという。

今回の医療費は207バーツだった(急患手数料100バーツ, 診察費・鎮痛剤注射費・処方薬107バーツ)。それでもこの金額はエーンの日給(8時間)にほぼ相当する。エーンによると、タイ政府からの医療補助が受けられない外国人はこの倍の料金を請求されるという。

バムルングラート病院が最初から患者に過剰医療を施すのに対して、ラーマーティッボディー病院は高額な精密検査を避け低コストな医療で様子を見る傾向がある。

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バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。