「小型のソングテオを400メートル乗っただけで100バーツ。少し割高に感じるかもしれないけれど、それがこの島の物価水準なのよ。イヤなら辛抱強く自分の足で歩くことね。あ、でもこの程度のことで驚いてもらっては困るわ。物価全体が高いから、運賃だけではなく、地価、人件費、家賃、食費、いずれの価格もかなり押し上げられている。ホテルの宿泊料金もバンコクとは比較にならないほど高いはずよ」
プーゲット県ガトゥーのパートーング海岸にある白人男性が経営している旅行代理店で、タイ人の女性従業員はこのように説明してくれた。タイ全体で見ればバンコクの物価もそれなりに高いが、ふつうなら30バーツも出せば食べられるタイ料理「グワイヂャップ」が40バーツもする。バンコクなら行列ができる有名店しかつけられない、かなり強気な値段だ。
パートーング海岸は2004年12月26日、スマトラ沖大地震とそれにともなうインド洋大津波によって壊滅的な被害を受けた。県内にあるホテルは、観光客を呼び戻すために、どこも赤字必至のバカ安な料金でプロモーション活動をおこなっていたが、その後、復興作業が急ピッチで進められ、いまでは以前の賑わいを完全に取り戻している。宿泊料金の相場も被災前より高くなっている。
午前10時半にソンクラー県ハートヤイを出発し、昼食をとるためにパッタルング市内を30分もかけてくまなく探したが、バンコク人に耐えられるレベルの食堂が一件もなく、市街地の西約5キロにある食堂で昼食をとった。午後4時10分、きょうの目的地だったグラビー県にあるビーチリゾート「アーオナング」に到着したが、想像していた以上に寂れていたため、目的地を変更してプーゲット島へ向かい、パートーング海岸にあるホテル「ディーワーナー」(3,300バーツ)に宿泊した。本日の走行距離は453キロだった。