日本人女性観光客に人気の Go Go Boys

今夜の予定を埋めようと、コンサート好きでタイ語が堪能な友人の日本人女性に電話をしてみたところ、ゴーゴーボーイズにハマっている日本人の女性観光客の話になった。

ゴーゴーボーイズとは、主に西洋系の外国人観光客を相手にタイ人の娼婦を斡旋しているゴーゴーバーを男性の同性愛者向けにアレンジした店舗のことで、客に性的なショーとアルコール飲料を提供し、男娼を斡旋している。350ミリリットル入りのビールが220バーツ、男娼を店の外へ連れ出すときに店舗へ支払うペイバーフィーと呼ばれている料金が700バーツ、性行為の対価として男娼に支払う金額が1,000バーツと、娼婦を斡旋しているゴーゴーバーと比較した場合、店舗内のサービスでは割高、店舗外のサービスでは割安といった料金設定になっている。

この友人によると、近頃、日本語のウェブサイトを通じて、ゴーゴーボーイズはバンコクよりパッタヤーのほうが優れているといった迷信が広がっており、バンコクから南南東へ145キロほど行ったところにあるビーチリゾートのパッタヤーへ通う日本人の女性観光客が急増しているという。パッタヤーにおけるゴーゴーボーイズの料金水準は、バンコクの半額ないし同額程度と言われている。

そして、ゴーゴーボーイズにハマっている日本人女性たちは、致命的な勘違いをしていると指摘していた。

「オトコと手を繋ぐのは嬉しい。オンナとも手を繋げないわけではないけれど、違和感があるし気持ちが悪い」

ラッチャダーピセーク通りの界隈にあるクラブへお気に入りの男娼を連れて行ったときに、そのように話しているのを聞いたという。

世間一般の日本人は、当然だが、同性愛者の価値観についてあまりにも無知で無頓着すぎる。未知の施設やサービスにハマる前に、ゴーゴーボーイズが男性の同性愛者に対してゲイの男娼を斡旋している施設であることを、今一度確認しておいたほうがいい。もちろん、男娼も同性愛者ではないと勤まらないから、世間一般の男性と同一視してしまうとトンデモナイ誤解の原因になる(タイにおける同性愛者の人口は信じられないほど多く、一方で女性相手に商売をしている男娼は、ゴーゴーボーイズではなく、普通のホストクラブで働いている)。

バンコクのホストクラブに潜入してみた

2005.10.15

ちなみに、この友人とその仲間たちは、ゴーゴーボーイズで働いている男娼たちのことを G.O.(ジーオー)と呼んで蔑んでいる。

タイ人の若者たちのあいだには「肌の色が白い=中国系っぽい=金持ちっぽい=イケてる」といった信仰がある。日本とは違い、日光浴や日サロはまったく受け入れられていない。ところが、G.O. たちの大多数は貧しい地方の出身者たちで、肌の色も極めて黒い。先日、ゴーゴーボーイズへ連れて行った友人のタイ人女性も「このオトコたちのどこが良いのかまったく理解できない」と話していた。つまり、G.O. たちにカネを払ってセックスをするまでの価値はない。

バンコクのゴーゴーボーイズへ世間一般のタイ人女性と行ってみた

2006.02.12

そんなものために、足繁くタイまではるばるやって来る日本人の女性観光客がたくさんいるというから滑稽でならない。しかも、いくらタイでは黒くて不細工と言われている G.O. たちでも、異性と肉体関係を持つように強要されるのは拷問ものだろう。

ゴーゴーボーイズは、女性の外国人観光客も、いちおう客としてもてなしている。恋愛に不慣れな女性が、至れり尽くせりの接待にハマってしまうのも分からなくはない。しかし、ゲイの男性に対して異性間の恋愛関係を求めることは、倫理に照らしていかがなものだろうか? 世間一般の価値観に置き換えて考えてみれば、男性が男性に、あるいは女性が女性に恋愛関係を求めているのと何も変わらないではないか。あまりにも要求が一方的すぎるし、身勝手すぎると思う。

どうしてもガマンできないという女性には、こちらも問題は山積しているが、とりあえず外国人の観光客を相手に浜辺で仕事をしているビーチボーイをオススメしておきたい。

タイ人のビーチボーイと日本人の女性観光客

2005.09.14

なお、友人によると、ゴーゴーボーイズで働いている男娼の質は、パッタヤーよりバンコクのほうが優れているという。

夜、スクンウィット22街路にある大衆居酒屋「栄ちゃん」でひとり寂しく酒を飲んでいたところ、偶然友人と鉢合わせ、タイ農民銀行のマネージャー職を月給100,000バーツでやってみないかと誘われた。けっこうウレシイ話だったが、すでに日本国内で内定を貰っている会社に対して受諾書を提出してしまっているため、後ろ髪を引かれる思いで断った。将来、タイに駐在する機会を与えてもらえればそれで十分。でも、もし自分にあとわずかばかりの勇気や冒険心(無鉄砲さ?)があったら、人生をもっと楽しめていたかもしれない、と思わなくもない。

ABOUTこの記事をかいた人

バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。