タイの分譲賃貸の集合住宅(コンドミニアム)から退去した

「そのゴミ袋を捨てるのはちょっと待って! バンコクに住んでいると忘れがちになるけど、この国には貧しくて洋服すら満足に買えないような人たちがたくさんいるのよ。あなたにとっては不要な衣類でも、地方へ行けばそれを貰って大喜びする人だっているの。いつか時間を見つけて寄付をしておくから、とりあえず私のクルマのトランクに突っ込んでおいてもらえない?」

午前11時半、スクンウィット13街路にある住まい Sukhumvit Suite 17階の自室は、足の踏み場すらないようなありさまだった。日本へ持って帰る荷物を少しでも減らしておこうと、備え付けの引き出しやクローゼットのなかから比較的重要度が低い私物を取り出して片っ端から黒いゴミ袋へ放り込んでいったところ、ゴミ袋の数は全部で12個にもなった。そのうち、衣類が入っているゴミ袋は2つあって、流行遅れになって日本ではもう着られない服のほか、タイでしか着られない原色の Y シャツや所有者が分からない衣類など合計数十点が入っている。

そして、衣類が入っているゴミ袋を友人のクルマが駐めてある駐車場まで持って行き、それ以外のゴミ袋10個をアパート内の共用スペースにある「ゴミ捨て部屋」へ運び込むと、部屋のなかはまるで誰も住んでいなかったかのようにガランドウになった。

午後2時、中国系タイ人の大家が退去時の立会いに来た。入居したときに預けていた家賃2ヶ月分の保証金、合計42,000バーツの全額を返してもらい、最後に部屋から出て行くときの鍵の隠し場所について話し合ってから、握手をして別れた。大学院に入学した2003年10月以来、かれこれ2年半にわたってお世話になってきたが、水道管が破裂したり湯沸器が故障したりといったトラブルに見舞われたときの指示がとても明快で、対応も迅速だったため本当に助かった。

その後、きょうの便でバンコクに到着する高校時代の友人に、引越荷物の一部を日本まで運んでもらうため、大急ぎで書籍や参考書などを旅行カバンふたつに詰め込んだ。それぞれ26.2キロと13.5キロの合計39.7キロだった。

当初、すべての作業をタイの物流業者に依頼して、手ぶらで帰国するつもりでいた。しかし、今月14日に受け取った見積書によると、貨物の重量は合計300キロで、輸送費用の総額は189,000円となっていた。その内訳は、タイ国内輸送費用が18,000バーツ、航空運賃が25,000バーツ、日本国内輸送費用が60,000円だった。そんなにかかるのなら、そのカネを使ってパソコンを買い替えたほうがマシだと考えて、日本国内の輸送サービスを無料で使える友人に無理を言って荷物の一部を運んでもらい、のこりは自力で日本まで持って帰ることにした。

夜、地獄の激マズ日本料理店 Oishi Grand へ行って高校時代の友人や現地の友人と夕食をとってから、友人が泊まっているホテル「ソフィテル・セントラルプラザ」まで荷物を送り届けた。

帰宅後、自室と同じフロアのエレベーターホールのすぐ隣にある「ゴミ捨て部屋」を覗いてみたところ、日中に捨てたゴミ袋は開梱されており、再利用できそうなものはすべて抜き取られていた。いくら自分で物権を放棄したものとはいえ、あまりいい気分はしなかった。

4 件のコメント

  • もうタイ留学が終わって、帰国されてるんですね。
    この日記をみて、自分もタイ留学を味わったような感じがします。感謝です。大学時代にタマサートとの交換留学制度があったのに、なぜそれで交換留学しなかったのかと後悔している次第です。また、前の方から、読んでみようかなと思ってます。

  • もうタイ留学が終わって、帰国されてるんですね。
    この日記をみて、自分もタイ留学を味わったような感じがします。感謝です。大学時代にタマサートとの交換留学制度があったのに、なぜそれで交換留学しなかったのかと後悔している次第です。また、前の方から、読んでみようかなと思ってます。

  • 日本に帰ってきてから2ヶ月半が経ちました。

    ときどき日記を自分で読み返していると、「ああ、あの頃は・・・」などという気分になることがあります。日本で平々凡々な生活をしていると、4年前の語学留学時代に帰りたくなります。なかなか良い思い出がいろいろとできました。

    タンマサート大学交換留学も良かったかもしれませんね。きっと良いタイ人の友人が沢山できたかもしれませんよ。

    僕も過去の日記を見直して、時間があるときにでも日本語の推敲と「今日の単語」コーナーを追加したいと思っています。この日記、毎日のようにやっつけ仕事で書き続けてきたので、いろいろと日本語のヘボいところがあるんですよね。なんとかしなくては!

  • 日本に帰ってきてから2ヶ月半が経ちました。

    ときどき日記を自分で読み返していると、「ああ、あの頃は・・・」などという気分になることがあります。日本で平々凡々な生活をしていると、4年前の語学留学時代に帰りたくなります。なかなか良い思い出がいろいろとできました。

    タンマサート大学交換留学も良かったかもしれませんね。きっと良いタイ人の友人が沢山できたかもしれませんよ。

    僕も過去の日記を見直して、時間があるときにでも日本語の推敲と「今日の単語」コーナーを追加したいと思っています。この日記、毎日のようにやっつけ仕事で書き続けてきたので、いろいろと日本語のヘボいところがあるんですよね。なんとかしなくては!

  • ABOUTこの記事をかいた人

    バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。