「タイ国の国家主権は国王にあります」

ヂュラーロンゴーン大学文学部主催の集中タイ語講座開講以来これまでずっと新出単語地獄には悩まされ続けてきたが、きょうのはホントウに極めつけだった。

「タイ王国の政体は、市民、陸軍、海軍、文官からなる人民評議会が仏歴2495年6月24日に起こしたサヤーム革命と、その後の市民革命や立憲革命などを経て国家の最高法規である憲法が制定されたことで、それまでの専制君主制から立憲君主制へ移行した。立憲君主政体における最高行政官は内閣総理大臣であり・・・・・・」

タイ語学習6ヶ月目にして、まさかタイ王朝興亡史を学ぶことになろうとは。日常生活のうえでは決して使うことのない政治用語が大量に登場した。行政府、立法府、司法府、中央政府、地方政庁、国家元首、元帥、大統領、版図、王朝、王位継承権、現人神、放棄、民族、捕虜、戦利品など、さまざまな新出単語が登場した。

しかもタイ語には高位王族専用の名詞や動詞があって、既定の専用語(王語)がない場合でも日本語の「御」に相当する「ソング」を動詞の前に付けなければならない。自分のタイ語力では辞書を書き写すので精一杯だ。

もはやカムトック(ドイツ人クラスメイトが大量の新出単語を滝になぞらえて作った造語)どころの騒ぎではない。タイ語ネイティブへの道を猛スピードで走り続けている。できることなら目的地まで無事故無違反でたどり着きたい。

先日来この日記に書いている携帯情報端末「パーム」は、クレジットカード決済の不具合によりいまだ注文が執行されていない。

それにしてもこの日記を読み返してみると自分がいかに不自然な日本語を書いているかを痛感する。海外に長期間住んでいる日本人にはおおむね似たような傾向があるけれど、外国語を習得していく過程で日本語の作文力が失われているのかもしれない。

ABOUTこの記事をかいた人

バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。