タイでは中規模以上の都市なら市街地を少し歩けばすぐに占い屋を見つけられるだろう。占い屋は簡易な机と灯籠を用意しているが、なかには歩道に風呂敷を敷いているだけ占い屋もある。
タイ人の95%は仏教(南方上座部仏教)を信仰しているといわれているけれど、タイの仏教はタイ独自の仏教である。タイ王室の王権の拠り所とされており、土着の精霊信仰とともにヒンドゥー教やバラモン教の教義が融合されて王権の正統化を強力にサポートしている。そのためタイ人は日本の仏教徒に比べて迷信を信じやすい傾向がある。
夜、足裏マッサージを受けた帰りにスクンウィット12街路で日本人の友人を占ってもらった。料金は占い料が99バーツ、お祓い料が999バーツだった。
タイで9という数字は縁起がよい数字とされている。しかしそれが西洋の占星術である「タロット占い」の料金とされているのはいかにも怪しいし、占いの通訳をしていて気づいたことだけど、カードが上を向いているときと下を向いているときの解釈がまったく同じだったから占いの結果についても疑わしかった。
「う~ん。この冠と赤いズボンがあなたに取り憑いている。もちろんお祓いをすればこれらの問題は一瞬にして消え去る」
占い師は次第にこのフレーズばかりを繰り返して「お祓い」を勧めるようになった。ナニガナンデモ999バーツを払わせるつもりだ。
占いを受けた日本人の友人は、いろいろと重要な選択に迫られている時期だったから、お祓いしてもらうことに決めた。儀式が始まると、魔法陣が書かれているわら半紙に友人の氏名を漢字で書き込んで、さらに占い師の指示にしたがってタイ語のニックネームを併記した。占い師は友人の頭から抜き取った3本の髪の毛をロウでわら半紙にくくりつけて、それを手のひらの間に挟みながらタイ東北部イーサーン地方訛りのタイ語で呪文を唱え始めた。
「天にまします○○様よ。猊下の温情をもちまして、この魔法陣のなかにミスター○○の赤いズボンを着て帽子をかぶっている悪霊を封印し、川に流すことでミスター○○の悪霊が遠ざかりますように」
ウチの近所にあるセーンセープ運河にわら半紙を流した。
けさは午前5時に起きた。スクンウィット6街路にあるコンドミニアム「ヂャラーンヂャイマンション」で友人たちと合流し、チャーターした乗合バンで空軍ゴルフ場へ出かけた。前のグループはマナーがまったくなってない韓国人。後続のグループは態度がビッグな空軍大将の御一行様。スコアは161だった。