午後9時、日本人向けの歓楽街タニヤ通りにあるカラオケスナック「ゆかり」の店主から電話があって、とある日本人観光客に会ってほしいと依頼された。周囲の噂が事実なら同性愛者だ。まったく厄介な客を押しつけられてしまった。
「大学院に落ちても絶対にアメリカへ行くな!」
そう強い調子で言われても、彼に僕の将来を保証する能力がない以上、僕自身が信じる最善の選択をするしかない。もし大学院に入学できなかったら次の機会に入学するための方法を模索するだけのこと。
もちろん平均的な日本人サラリーマンの10倍ぐらいの収入を一生涯にわたって保障してくれるのなら喜んでタイに残るつもりだ。