日本ではアメ車より国産車のほうが優れていると言われているけれど、中古車市場における日本車の取引価格から推測すると日本車人気はアメリカでも同じらしい。
午前中の授業が終わってから、となりのクラスの学生達とアルハンブラ市のメイン通りにある中華料理店へ行って昼食をとった。その後、駐車場に戻ってクルマに乗り込もうとしたところ、正面にあった友人の旧式キャデラックから小さな火花が落ちるのが見えた。急いでクラクションを鳴らして脱出を促すために「逃げろ!」と叫んた。旧式キャデラックは10秒後に発火して、1分後には駐車場一帯が黒い煙に覆われた。みんな自分のクルマを安全な場所まで移動させてから、煙を避けるためにコインランドリーの中へ待避した。キャデラックの持ち主は駐車場を取り囲むように建っている商店・飲食店のひとつひとつを回ってクルマを移動させるよう呼びかけた。
4分後、キャデラックは炎に完全に包まれ、となりの植え込みに飛び火した。もうクラスメイトのクルマは諦めるしかないけれど、ほかのクルマに延焼してしまったら賠償問題なりかねない。
炎上から15分して消防車が到着した。そのころには小規模な爆発が断続的に繰り返されていた。窓ガラスが周囲に飛び散って、植え込みの反対側に駐めてあった最新型のベンツに飛び火しようとしていた。消防車から飛び降りた消防士は素早く消防服に着替えて、すぐに消火活動を始めた。それから5分してようやくキャデラックは鎮火した。
キャデラックの持ち主は、自動車保険にもAAA(全米自動車協会)にも加入していなかったため、知り合いの日本人からAAA加入者番号を借りようと電話していた。(当然と言えば当然だけど)名義の貸し借りが出来ないことが分かってからは、知り合いの解体屋に電話して廃車を依頼した。
炎上したのは1979年式のキャデラックで、半年前に購入したときの価格は1,500ドルだったという。電気系統のショートによって発生した火花が周囲の部品に引火したのが原因と見られている。
なお、焼け残った部品を再利用するため、消防車と炎上車処分の費用については解体業者が全額負担してくれた。キャデラックの持ち主は来週水曜日に警察と消防による事情聴取を受けることになっているそうで、延焼させてしまった駐車場の植え込みの補償についてはまだ話が来ていないという。