タイ人の性に対する価値観

2001年から2003年にかけて同棲していた元カノのエーンは高度にアメリカナイズされていたため日本的な感覚で付き合っていても特に問題にはならなかったが、きのうから付き合っているブワは典型的な中産階級の家庭で育ってきた大学生であるため、タイ人特有の価値観に一定の注意を払っておく必要がありそうだ。これまで日本人の友人たちから聞いてきた話を総合すると、タイ人の男女交際や性交渉に関する考え方は、日本人のそれとは想像を絶するほどの隔たりがあるという。

そこで今晩は、スィーナカリンウィロート大学の社会学部ホテル経営観光学科に在籍している3年生の友人に、タイ人の女子大生が男女交際や性交渉に対してどのような考え方を持っているのか話を聞いてみた。

およそ3時間におよんだ友人の話は、要約するとつぎのようなものだった。

「タイ人の女の子が自分の両親に彼氏ができたと報告するときには普通、将来結婚する可能性のある相手ができたというニュアンスが含まれている。結婚する可能性がない現時点の彼氏と紹介するとはまず考えられない。彼女の両親もあなたをそのように扱うはず。だから今後、あなたは『タイ人と結婚する気はない』とは言えなくなるでしょう。タイ人の女と付き合うと、後日いろいろな責任を追及されることになるから、それだけの覚悟はあらかじめしっかりと持っておく必要がある。キスをしたり抱きついたりするぐらいなら何の問題もないけれど、それ以上の関係を求めるんだったら相応の覚悟はしておきなさい。ひとつ忘れてもらいたくないのは、ここでは処女ではない女性は結婚相手の候補として見なされないってこと。いまだ処女信仰が強いの。だから私たちは貞操を守り通さないと結婚のチャンスを逃すことにもなりかねない。……あなたが彼女をどうしたいのかは知らないけれど、あなたの行動ひとつで彼女は将来的にかなりの問題を抱え込むことになるわ」

グッサリと釘を刺されてしまった。タイ人にとっての男女交際とは、すなわち日本人的な価値観でいうところの婚約の段階に準ずるような男女関係のことで、日本人の女性を相手にするときにように「結婚に至るまでの階梯のひとつ」といった感覚で交際するといろいろと厄介な問題に巻き込まれそうだ。

僕は、タイでの留学を始めた2年前から「タイ人とは絶対に結婚しない」と決めている。タイ人の女性と結婚した日本人男性の大部分が、世間一般のタイ人女性ではなく娼婦と結婚して日本へ連れ帰ったせいで、日本国内ではもとよりバンコクの日本人社会でもタイ人の女性と結婚している男性のイメージは悪い。だからタイ人の女性と結婚するということは周囲の日本人たちから奇異の目で見られ、自分の信用力を失うリスクを自ら背負い込むことになる。そんななかでもリスクを顧みることなく、（娼婦ではない）まともなタイ人女性と結婚する日本人男性が後を絶たないのは、もしかしたら彼女たちの結婚に対する直向きな姿勢と誠実さに交際段階で絆された結果なのかもしれないれ。そう考えると、自分もこの決意をいつまで貫き通せるのか正直なところ確信が持てない。

ちなみに今回相談に乗ってくれた友人は日本人の男性と交際しているが、これまでに一度も身体を許したことがないという。この友人の考え方について、その日本人の彼氏がどのように受け止めているのか興味深いが、そんなことよりこれから自分がどのようなスタンスでブワと交際していくべきなのか考えないといけない。

もしかしたらバンコクにたくさんいる日本人男性と同じように、自分も屈辱的なソープランド通いをする羽目になりかねない思うとなんだか釈然としない。

一方で先月17日の日記に登場したアサンプション大学を卒業したばかりの男友達はこのように話していた。

「当事者以外の第三者に知られなければ、何かあったところで問題にはならないのさ」

つまり、僕が性的な関係を持つきっかけを作らず、彼女が親に洗いざらい話したりしなければ、問題にはならないという意味なのか？

きのう運転免許証の交付を受けたときに、運輸局の窓口でパスポートと国際運転免許証を返却してもらうのを忘れていたようで、昼食をとったあとに運輸局の職員から電話があって引き取りに来るように言われた。午後3時半にスクンウィット13街路にあるコンドミニアムから出発してクルマで向かったところ、小中学生を学校まで迎えに行くクルマによる凄まじい交通渋滞に巻き込まれた。バンコク都庁は、都内にある教育機関に対して送迎バスの運行を義務づけるか、もしくは親による送迎を全面的に禁止するべきではないか。この渋滞によって、バンコクでは計り知れない経済的な損失が生じているはずだ。