バンコクでの生活は、友人次第でいくらでも変わる。
もし、自分の人間関係が職場の友人中心であれば堅苦しいものになっていただろうし、娼婦中心であれば不毛なセックス漬けの日々を送ることになっていただろう。そして遊び好きな男友達がいれば、当然オンナ遊びに付き合わされることになる。
バイトの終業後に友人から呼び出され、午後9時頃にスクンウィット113街路にある友人が経営しているインターネットカフェへ行くと、そこには平均以上の容姿の23歳から28歳までの男5人が集結していた。遊び好きな彼らには金銭的な余裕がないため、あまり金のかからないところへ行こうということになり、インターネットカフェの向かいにある屋台でカーオパットムー(豚肉チャーハン)を食べながら話し合ったところ、テーパーラック通り(スクンウィット115街路, バンコクの南東にあるサムットプラーガーン県北サムローング郡)にある大型ディスコ Street of Hollywood が良いという話になった。ひとりあたりの予算は300バーツだった。
友人によると、 Street of Hollywood は遊び好きな学生であれば誰でも一度は来るという人気のディスコで、はるばる県外からやってくる(僕のような)客も少なくないという。移動中のクルマの中で聞いたこの話が誇張表現でないことは、現地に到着してすぐに分かった。バンコク都内にあるディスコ街よりも大きな駐車場を備え、そこには少なく見積もっても200台以上のクルマと何百台もの110ccバイクが駐まっている。入口の警備員に国民 ID カードの提示を求められたが、外国人の僕が持っているはずがない。運転免許証を提示して場内に入ると、あまりの騒々しさと規模の大きさに仰天した。まさかバンコク中心部から遠く離れたところに、これほど大規模なディスコがあろうとは夢にも思っていなかった。都内におけるディスコのメッカ RCA Royal City Avenue を凌ぐ規模で、テーブルの数から計算すると収容人数は5,000人~8,000人。万一にも火災でも発生しようものなら焼死や轢死は免れないだろう。
現在、この店ではプロモーション(お得な割引キャンペーン)を実施中で、①ウイスキー Spey Royal 1本、②瓶コーラ2本、③瓶炭酸水3本、④氷1杯、⑤コップ5つ、⑥ポップコーンの6点セットで595バーツだった。あまりの安さに驚きながら周囲を眺めていたところ、ナンパに出ていた友人が7人もの女子を連れて戻ってきた。
その後、紆余曲折を経てそれぞれ1人ずつゲットし、友人が経営しているインターネットカフェで午前4時まで飲み続けたのちに、僕ともうひとりの友人はそのままクルマでラブホテルへ向かった。
タイのラブホテルは日本の古いラブホテルのようなもので、ソファー、ダブルベッド、テレビ、無料カラオケ、トイレ、シャワー室などを備えており、料金は Rest (2時間)が220バーツ、 Stay (宿泊後午後2時まで)が440バーツだった。なぜか僕たちは4人で同じ部屋に入ってしまい最後までできなかったが、とりあえず「ディスコでナンパしてみる」という当初の目的は達成した。それにしても、僕がナンパした女性はロクでもない工場労働者だった。デブで、ブスで、ニンニク臭くて、色黒で、しかも生理中と来た。もしこれで酒が入っていなかったら、キスをするどころかまともに顔面を直視することもできなかっただろう。
ナンパ上手の友人によれば、「タイのオンナは、たとえディスコに来ているとはいえ、決して自分から男に声をかけるなんていうはしたない真似はしない。だから、俺たちの方が積極的に動かなくてはならない」という。また、友人同士でフツウに遊びに来ている女性グループも多いから、無差別にナンパして全部ゲットするのは不可能という。
サムットプラーガーン県北サムローング郡の一帯は工業地帯のためか、客の大半が工場労働者だった。