親類縁者による手作りの結婚式。
昨年末に結婚式場で盛大に催された別の友人の結婚式に参列したが、今回の式はもっと質素でオーソドックスなスタイルだ。
午前8時、バンコク都南部のヤーンナーワー区にある庶民的なコンドミニアムの地下駐車場にクルマを止めた。駐車場所を巡って向かいにあったミニマートの店主と口汚い口論をしてから、新郎の案内で今にも止まりそうなエレベータを上がったところに、中国的な音楽を大音量で流して場の雰囲気を盛り上げている新婦一家の部屋があった。
午前10時、新郎宅はここから10kmちかく離れているため、コンドミニアムの管理棟を新郎宅に見立てて、そこから前から持参金を持った新郎方のウィワーハモンコンの行列が運動会の入場行進のような音楽とともに出発した。しきたりに則って、行列の行く手を子供たちが遮り、そのたびに新郎が通行料という小遣いを子供たちに与えて通過していった。新婦方の部屋で結納金(現金20万バーツと金10バーツ)を納めて、仏僧の到着を待った。
午前10時半、9人の仏僧が新婦一家の部屋に到着した。9という数字はタイでは縁起が良いとされている。およそ20分間の読経のあと、仏僧の代表が新郎新婦に結婚の心得を諭したのちに、昼食をとって帰って行った。
正午からは、参列者が新郎新婦の手に水をかけて結婚を祝福する儀式が催された。新婦の祖父によると、この儀式に使った水を入れる容器は希少品のため、入手が困難な上に値段も高いという。
その後、新郎新婦の化粧直しのために写真スタジオへ移動し、午後6時にサートッゥバンディット通り私立サーラサートピッタヤー学校体育館の披露宴会場に到着した。体育館はイベントに貸し出せるよう改装されており、天井には24基もの冷房が設置されている。披露宴は、司会者が新郎新婦や両親にインタビューするというかたちで進行され、終わりのないカラオケ大会が続いた。参列者はおよそ210人。式次第はなく、日本の結婚披露宴のような堅苦しさもなかった。
新郎新婦を新郎宅に送り届け、きょうの披露宴に参列したタイ人4人と午前2時(法定閉店時間)までトーングロー交差点にあるビアホール「コロシアム」酒を飲み、さらに午前5時までプララームガーウ通り(ラマ9世通り)にあるカラオケ屋で飲み続けた。