午前10時、クラスメイト25人がバンコク・ドーンムアング空港の国際線出発ロビーに集合した。今回の調査旅行は、東南アジア研究科の学生全員に参加が義務づけられているもので、参加しないと修了の要件を満たせなくなる。費用はひとり65,000バーツだが、この旅行代金は半期ごとに支払う授業料に含まれているため、別にお金を用意して支払う必要はない。外国人学生の大半は、暑気休暇を利用して帰国していた母国から昨晩または今朝未明にバンコクに戻ってきたばかりのようで、みんなひどくグッタリとしている様子だった。
プレジデント航空876便は午前12時15分にドーンムアング空港から離陸し、その1時間10分後の午後1時25分にカンボジアの空の玄関口プノンペン・ポーチェントン国際空港に着陸した。後発開発途上国とはいえ首都の空港だけあって、小規模ながらも整備が行き届いている。空港からは老朽化が激しい大型観光バスに乗ってプノンペン市街へ向かった。
カンボジアの首都プノンペンは、1866年にノロドム王によって建設された人口約99万人の都市で、メコン川、トンレサップ川、バサック川が合流する海上交通の要衝となっている。
トンレサップ川に面したカンボジア料理店「トンレ」で昼食をとった。ベトナム人クラスメイトによると、カンボジア料理はタイ料理よりもベトナム料理に近いそうで、味もベトナム人を満足させるレベルにあるという。しかし、タイ人のクラスメイトたちは不慣れなカンボジア料理を嫌い、店の外にあったグワイッティアオ(タイ風ラーメン)の屋台に殺到した。
食後、王城へ向かった。カンボジア王宮は1919年にフランス人建築家によって建設され、現在でも国王と王妃の居住と公務の場となっている。ここでは典礼施設のほか、歴史的にも貴重な国家遺産を見て回ることができる。仏教寺院シルバーパゴダに隣接しており、カンボジア人ガイドによるとカンボジア王宮はタイの王宮建築の影響を受けているという。
その後、国立博物館でカンボジア国内の各所から発掘された銅像や壁画などについて解説を受けてから、1時間ほど船に乗ってメコン川の畔にある海鮮料理店「ラムチョング」へ行って夕食をとり、今晩のホテル「プノンペン」へ向かった。
タイの教育機関が主催する調査旅行だけに、てっきりひどいホテルに泊まらせられるとばかり思っていたが、ホテル「プノンペン」は贅を尽くした超高級ホテルだった。カンボジア人ガイドによると、宿泊料金は一泊100ドル前後らしい。
クラスメイトたちに日本から買ってきたデジタルカメラの使い方を深夜まで教えてから自室へ引き上げた。