午前中の講座「東南アジア文明論」でタイの北部へ行った。今回の目的はタイの文化のルーツとされているガンペーングペット県、スコータイ県、ピッサヌローク県にある遺跡の見て回ることだった。ヂュラーロンゴーン大学文学部の正門前にまだ太陽が昇っていない午前6時に集合した。現地では肌を焦がすような強烈な日差しのもと、日陰になっている部分を探しては、遺跡の名称、年代、建築様式、影響を受けた周辺の文明、歴史的な背景などについてノートに書き連ねていった。
CATEGORY 大学院研修旅行
タイ最西端 ラーチャブリー県スワンプング郡
東南アジア研究科の学生たちを乗せた兵員輸送車は、ものすごい砂埃を上げながら山間の未舗装路を走り続けた。つぎの目的地である兵営の手前でクルマから降りて、そこから急な坂を息を切らしながら登っていくと美しい景色が広がっていた。
「世の中が平等だなんていうのは妄想にすぎない」
このクラスメイトは裕福な家庭で育ち、大学2年の頃から父親に買ってもらったベンツで通学しているという。それだけに、自分が抱えている経済的困難を正当化するための自己完結型の屁理屈に陥ることなく、何の躊躇もなく思いっきり強者の論理を振りかざしている。基本的には僕もこのクラスメイトの主張に賛成しているが、それでも念のために一応忠告しておいた。
「日本人は愛国主義者だ」
日本人愛国主義者説。タイ人とフツウにコミュニケーションがとれる日本人であれば、バンコク生活のなかで一度は聞く仮説もしくは風評だ。その根拠は、日本人が日本製品をこよなく愛し、日本国に対して絶対の自信を持っていることとされている。
遺跡巡りはロッククライミング
きのうまでの8日間、僕たちは15ヶ所もの遺跡を炎天下「登り続けて」きた。カンボジア遺跡に対する新鮮な喜びなどとうの昔になくなっている。 カンボジア遺跡は、その時代の権力者が階段を登って中央にある祠堂まで行けるように設計さ…
アンコールワット
カンボジア遺跡のなかでも最も壮麗で歴史的価値が高いとされているアンコールワットへ向かった。毎年、ここを多くの日本人観光客が訪れるというが、実際に行ってみると噂ほどではなかった。第1回廊にインド古代の叙事詩「マハーバーラタ」と同じインド古代の叙情詩「ラーマヤナ」の壁画が描かれているほかには、これまで見たたくさんの遺跡と基本的に何も変わらない。
政府開発援助とその意義
アンコールワットでは現在、大規模な修復工事が行われている。その前を通りかかったときに、カンボジア人ガイドが「これは第二次世界大戦時に日本国が東南アジア諸国の人々を苦しめたことに対する補償の一環として行われているものです。日本政府はカンボジアに年間10億ドル規模の無償資金援助を行っています」と説明した。
考古学とは男たちのロマンのことか
考古学とは、正体不明な遺跡を前に、同年代に書かれた他国の文献を参考にして、なんとなく辻褄を合わせながら、男たちが過去に思いを馳せる歴史物語のことなのか? 日本人として、豊富な史料に裏打ちされた歴史を学んできたせいか、このように根拠の薄い仮説や伝説を聞かされ続けるのはあまりにも苦痛だ。
聖なる1000体のチンコ
「シヴァリンガの長さについて話すのは一切禁止! 勉強しようという意欲が一気に失せるから本当にやめてよね」シヴァリンガとはヒンドゥー教寺院に神体として安置されている礼拝の対象で、女性器の象徴の中に男性器の象徴が立っており、シヴァ神が性交しているところを女性器の内側から見たものとされている。
クメール研究所
きょうは朝からシアムリアップ市内にある小学校の敷地内に設けられた「アンコール研究所」に籠もって、終日カンボジア考古学の講義を受けていた。休み時間に講義の内容がよく分からず消化不良のまま屋外に出ると、ベトナム人クラスメイトが近づいてきてポツリと呟いた。
カンボジアの社会基盤
幹線道路に架けられている橋は、非常に簡素な作りをしていて、見てからに強度もなさそうだった。そのため、複数のクルマが同時に通過するのを防ぐために、あえて狭く作られている。沿道の家々には電力をはじめ、上下水道や都市ガスなどの基本的なライフラインが普及しておらず、人々はまるで原始人のような生活を送っている。
ひとつめの遺跡 ガンポントム投宿
いよいよ今日から本格的なカンボジア遺跡の調査が始まる。とはいえ、東南アジア学は考古学に特化した学術分野ではなく、考古学を専攻していない学生たちにはカンボジア遺跡に関する専門的な知識がないため、せいぜい観光ガイドブックの解説を元に見て回るのが精一杯だろう。
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