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タイのタックスィン・チンナワット元首相は捲土重来を果たせるのか

午後8時すぎ、有料道路のバンコク・チョンブリー新線を走行中に、タクシーの後部座席から街の風景を眺めていたところ、留学時代にイヤというほど聞いた「あの声」がラジオから聞こえてきた。ラッチャダーピセーク通り周辺における7億7200万バーツにのぼる土地の不正取引と、それにともなう収賄の疑いで2008年8月12日、最高裁判所の公務員特別職刑事犯課から指名手配され、現在諸外国を転々としているタックスィン・チンナワット元首相の声だった。

タイの国論を二分している黄服派と赤服派

午前8時50分、プララームホック22街路にある友人が契約している安アパートの一室で、部屋のドアが開く音がして目を覚ました。友人が近所にある屋台へ行って、朝食のお粥と大量の葡萄を買って来てくれた。けっきょく50分も眠れなかった。そして、昨晩から夜を徹してずっと続いてきたマシンガントークがすぐに再開された。

タックスィン資本のホテル

午後4時半、プーゲット県のパートーング海岸にあるホテル「プーゲットクレースランド」から、窓の外に広がる青い海を眺めながら友人は言った。このセリフを、首相の友人たちが喜びそうな中国語ばかりで溢れかえっている宮殿のようなホテルで聞くと、亡国の行く末を案じながらも手の講じようがない一般市民の歯痒さを感じ取ることができる。

南部国境へは行かない

午前零時半、タイ国道41号チュンポーン・パッタルング線の始点があるチュンポーンで、「このままマレーシアの首都があるクアラルンプールまで運転して行っちゃおうか?」と思いつきで提案したところ、友人が拒否反応を全開にして言った。現在、タイでは、南部国境3県へ行くことは、自殺行為と同義であると考えられている。

中国系タイ人なんて大嫌い

午後9時、チャイナタウンの愛称で親しまれているバンコクの中華街「ヤオワラート通り」で渋滞にハマっていたところ、友人はプラモングットグラーオ王の英語論文にある「東洋のユダヤ人」さながらの華人批判を始めた。中国系のタイ人が何かと持て囃されがちなこのタイで、中国系以外のタイ人は複雑なジレンマを抱えながら生活をしている。

ICチップ搭載のあたらしい国民IDカード

新型の国民 ID カード(バットプラヂャムトゥワプラチャーチョン)では、旧式の国民 ID カードにあった宗教と血液型の欄が削除され、代わってそれぞれの項目に英語が併記されるようになった。 IC チップには、宗教、血液型、指紋形状(両手親指・右手人差し指)、最終学歴(教育機関名と学年)、職業(会社名と職位)、家族構成(親兄弟の氏名と国籍)など、さまざまな個人情報が登録されている。

国王誕生日慶賀式典の国王演説

プーミポンアドゥンヤデート国王は、タックスィン・チンナワットの首相が就任した2001年以来、一貫して強い嫌悪感をあらわにしている。そして今回、ヂットラダーラホーターン宮殿にあるドゥスィッダーライホールで、78歳の誕生日を祝うために訪れた21,859人の前で、なんと、自分より格下の首相に対して「様」を付けて呼んで皮肉をお示しになり、首相の「非難嫌い」を論ったうえで、その独善的な政治姿勢を戒めた 。

多国籍料理店 KOI Restaurant でビジネスディナー

店内には、赤と黒を基調としたソファーが並び、テーブルには数々の不思議な日本料理が乗っていた。この店の系列店は米国ロサンゼルスとニューヨークにもあるが、ロサンゼルス留学時代にタイ人の友人たちとイヤというほど通いつめたあの怪しげな Sushi Bar とは違って、美味しかった。特に、牛肉がやわらかかったのは印象的だった。

タイの大学共通入学試験における社会科の試験問題

プラヂュンラヂョームグラーオ大王がタイを統治していた1897年、ダムロングラーチャーヌパープは、英領ビルマや英領マレーシアなどで施行されていた地方の行政機構を導入して、全国にカールワングテーサピバーン(州令)を長とするモントン(州)を設置した。

タイ人の国王に対する忠誠

これまでタイ人は盲目的に国王を崇拝していると考えてきたが、意外にもそれなりの根拠があることが分かった。国王の偉業の大きさに感銘を受けるとともに、当時虐殺された市民の正確な人数すら検証できないという、タイにおける基本的人権の脆さを知って、改めて驚かされた。

タイの討論番組 「トゥングルーク・トゥングコン」

自由な討論がおこなわれるテレビ番組は、ここタイでも放送されている。なかでも、ソーラユット・スタッサナヂンダー氏(バンコク大学報道学部卒業・39歳)が司会を務めている「トゥングルーク・トゥングコン」(子へ人へ, 平日23:00~24:30)の存在は特に際だっており、さまざまな社会的な問題をタイムリーに取り上げて、当事者や専門家を招き、事の真相を徹底的に追究していく報道姿勢は、タイの国民から幅広い支持を得ている。

タイにおける不平等な被選挙権

タイの憲法は、中流以下のタイ人にとって不平等だ、という説がある。107条と123条で、大卒未満の国民に被選挙権(立候補する権利)を認めていないのが、その根拠とされている。つまり、タイでは「支配階級」と「被支配階級」との関係が憲法に明文化されている、ということになる。